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TCD Branding Magazine - ブランディング Web制作 | tcd…

2012年「ブランディング大予想」

2012年1月 5日

あけましておめでとうございます。
旧年中は一方ならぬご高配を賜り、ありがとうございました。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

さて、皆様方には新たな気持ちで新年をお迎えのことと存じますが、ここで2012年のブランディングのトレンドについて大予想をしてみました。私が日頃の仕事や生活で得た情報や考えたことに基づいておりますため、「当たるも八卦」はお正月に免じてお許しください。

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1.100周年企業、続出。今年も「老舗のブランディング」。
・帝国データバンクによると、2012年に創業100周年を迎える企業は1854社を数えるとのことで去年の3倍近くにもなるという。というのも1912年が大正元年の改元の年に当たり、空前の創業ブームが起こったからとのこと。中には大正製薬のように社名に「大正」を入れた会社もある。
代表的な企業ではシャープやJTB、ヤンマーなども創業100周年を迎える。シャープの創業期の事業がシャープペンシルであったことはよく知られているが、同じ100周年を迎えるプリント基板などの製造メーカー、イビデンが元々揖斐川電力という電力会社であったことは今や知る人は少ないのではないか。
先月「老舗のブランディング」でも書いたように、この100年間には産業技術や社会構造などの大きな変化が起こったが、更なる激変の時代、今年もこれらの企業では事業定義やブランド提供価値の再確認が行われることになるだろう。注1)

2.「○○まるごと」ブランディングが注目される。
・家電、住関連業界で昨年来、ブランディングで目立った動きをしている企業の代表がPanasonicとLIXILだろう。
PanasonicはPanasonic電工とSanyoを企業統合し、一方LIXILはTOSTEM、INAXなど住関連の主要5社が統合ブランドの下に集結した。どちらも事業シナジーによる経営効率を求めてのことだろうが、ブランディングの観点からは、テレビやサッシやトイレやキッチン単体では消費者に訴える力が希薄になってきたことを意味している。
両社がめざすところは、住宅まるごと、家庭生活まるごと、お任せください。というプロミスであり、その点では既に以前から「おウチまるごと」をメッセージとして発信しているPanasonicに一日の長がある。
そのPanasonicは昨年藤沢市でスマートタウン構想を発表した。「おウチまるごと」から「街まるごと」へのチャレンジだ。これを迎え撃つのは自動車メーカーTOYOTAだ。こちらも豊田市で多くの企業を集めて、低炭素社会システムへの実証実験を進めている。産業界の両雄が「街まるごと」を掲げ、次世代の街づくりを競い合う姿は興味が尽きない。


3.グローバル・ブランディングは中国焦点からASEANへシフト。
・先日あるクライアントの海外担当責任者の方と話をして思ったこと。「中国の巨大な市場は魅力ではあるが、マスマーケティングを展開するのはコストがかかりすぎ、効率が悪い。むしろ、ASEANの方がうまみがある」とおっしゃる。確かにASEAN各国の人口の総和は6億に迫り、中国やインドには劣るものの、EUや北米(NAFTA)より多く、成長力も可能性も限りなく大きい。
最大の課題はそれぞれの国で言語、宗教、人種、生活風習が異なり、きめ細かなマーケティング対応力が求められることだ。ともあれ、こうした細かな工夫を凝らすことにかけては才長けているのが日本人。今年はいくつものブランディング成功例が報告されることであろう。


4.ブランド・コミュニケーションはさらに情緒的に。
・ユニクロの年末のコマーシャル。従来は機能性を打ち出したスタイリッシュなアプローチがユニクロ流。しかし、ここに来てトーンアンドマナーを随分変えてきた。例えば「冬の家族服」というCM。描かれているのはまさに家族の団欒や絆。その他にも市井の職人を採り上げたシリーズなども、より「生きること」の内面に迫ろうとしている。
ここにも大震災以降のブランド・コミュニケーションのあり方を模索する動きが見てとれる。


5.都市機能のリブランディングが登場。
・最後に予想というか、予告です。
近年都会で元気の無い場所の典型が駅のキオスク(駅売店-ここではJRの「キオスク」を総称として使う)。それも仕方あるまい。なにしろキオスクのかつての3大商材はタバコ、新聞、雑誌。いずれも客離れが著しい。おまけにライバルのコンビニがどんどん駅近、駅ナカに進出している。完全に閉めていたり、昼間や夜はシャッターを下ろしているキオスクも目につく。しかし、これらの店舗は駅には必ずあり、ある種の都市インフラとして本来重要な役割を持っている。
ここに新たな商材とサービスを導入し、業態を変えたり、機能性を向上させたりして、キオスクを活性化させようというプロジェクトを昨年来お手伝いしている。もちろん、提供価値をネーミングやデザインで明確に打ち出すブランディングも重要課題だ。今春には実験店舗が登場予定。その暁には本欄で詳細ご報告したい。


このように、元気のない、力を失った、商品・サービスや業種・業態を再活性化し、往年の輝きを取り戻してもらうというのもブランディングの大事な役割。ブランディングを通じて世の中に少しでも貢献していくことができたら、というのが今年も私たちの変らぬ願いです。


注1)
例えばJTBグループでは、100周年に向けて自らのドメインを「交流文化事業」と定義し、ブランドの提供価値をブランド・プロミスとして、以下のように発表しています。(JTBサイトより)

100周年を迎えるにあたり、私たちは次の100年も皆様に支持されるグループであるために、気持ちも新たに、お客様への約束として次のとおり定めました。

(私たちがお客様に約束すること)

私たちは、地球を舞台に自然、文化、歴史とのふれあいや
人々の交流を創造し、お客様に感動と喜びを提供します。
私たちは、お客様と共に歩んできた100年を大切にし、
これからも「価値ある出会い」を創造し続けます。
そして、このお約束を実現していくために、社員全員が常にこのお約束を意識するために、

「感動のそばに、いつも。」

この言葉を、グループのスローガンとして定めました。




kazoka.jpg[筆者プロフィール]岡田一雄 株式会社TCD 取締役社長、クリエイティブ・ディレクター 
1954年大阪に生まれる。1982年TCD入社。以降、TCDの主だったCI、ブランディング、商品開発プロジェクトのディレクション、プロデュースを手がける。