容器の表情

TCD’s Philosophy from the Chairman’s Study

201203

「ノンアル飲料 誤飲防止急げ」の見出しが、ある日の新聞紙面を賑わしていた。
「ノンアルコールビールのパッケージデザインが、ビールのパッケージと酷似し、
誤飲を招く恐れがあると波紋を呼んでいる」とのことだ。他にも「ジュースに似
たカクテル飲料が子供の誤飲を招いている」とも述べている。

ビールではないが、ビール気分を楽しんで欲しい。アルコール飲料だが、フルー
ティさを強調したい。メーカーの偽らない心情であろう。誤解の効用を期待して
いる訳ではあるまいが、誤飲の原因はどうやらその辺に潜んでいる様だ。

本来、容器のデザインはその形状と共に、内容を想像させるに相応しい表情を持っ
ているもの。内容と異なる表情は利用者の混乱を招く以外何物でもない。
容器の表情に安心して利用をして頂ける様、メーカーもデザイナーも「意外性の
効用」などに魅かれることなく、真摯に勤しみたいものだ。


山田崇雄 株式会社TCD 代表取締役会長、クリエイティブ・ディレクター
[筆者プロフィール]
山田崇雄 株式会社TCD 代表取締役会長、クリエイティブ・ディレクター
1938年大阪に生まれる。1961年~1971年早川良雄デザイン事務所にてチーフデザイナーを務める。1971年独立。1977年株式会社TCD設立。
大阪府アートディレクター、大阪デザイン団体連合会長などの公職を歴任。現在、日本広告制作協会関西代表、大阪広告協会理事、佐治敬三賞審査委員長、広告電通賞選考委員などを通じ、関西のクリエイティブ界を牽引している。