creators method 4:R+L=D

山田崇雄の「creators method」第4回目は「R+L=D」です。

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今回は「感性を司る右脳」と「理性を司る左脳」の話です。理性と感性というのは常に対峙しており、人間の欲望に対して素直なのは右脳。一方、欲望に対して冷静な判断を下すのが左脳です。今回山田はこの右脳と左脳の話を通して、デザインという職業におけるクリエイションの話を展開しています。

我々デザイナーは、自分自身の表現ではなく誰かの仕事を表現するお手伝いをします。前回は「全身で感じろ」という感性的な話をしました。その感性を顧客に提案する段階では、時に冷静にその表現を判断し「理性というフィルターを通せ」と言います。

この相手はこういう表現で喜ばせようと、自分の感性を素直に表現する事は非常に大切です。しかし、相手が理解しやすいよう「何をどういう手順で話すのか」を考えることも同じように大切な事です。一見非現実的とも取られる純粋で感性的な右脳Rを、状況に合わせて効果的に現実に置き換える理性的な左脳Lを通して、非現実から現実へと感性をスライドさせて依頼者のビジネスを表現する。それもD=デザインだと言います。

また山田は、デザインやクリエイティブにおいて右脳と左脳は喧嘩していても良いと言います。常に両方が出たり入ったりと均等に働かせる事でバランスの取れた提案になり、顧客の理解も得られるのです。もちろん顧客の期待に応じてRが8割でLが2割という事もあります。また逆に理性が8割にならないと認められない事もあります。ただし、Lが10割と一辺倒になるのはいけません。誰がやっても同じデザインになってしまうからです。

例えば「器」のデザインを依頼され、「使いやすい器をデザインした」と提案したとしましょう。しかし、そもそも「器」とは、使う人にとっては日常的に使うもの。そして古来より我々が「器」に期待してきた便益を考えると、「使いやすい」ということは至極当たり前の事です。「使いやすい」を追及してきた様々な「器」が身の回りにあふれている中でのこうした提案は、単に同質化したものを勧めている事になり、その魅力は相手に全く伝わらないでしょう。しかしそこに逆説的なもの、誰もが驚くようなものを一つ置く。そうする事で初めて、相手はその「器」と周りのものとの違いを判断できる。新たな「器」の価値と、これまでの「器」の価値の両方を再認識できるのです。

理性と感性の最適なバランスとは状況に応じて変わります。しかし、両者は常に一緒にいるのです。クリエイターはどちらかに偏るのではなく、視野を広く物事を見回しておかなければなりません。それはアーティストとデザイナーの違いとも言えます。アーティストはRだけ、極端に右脳だけで良い。しかし、デザイナーは同じ生活者として存在しているからこそ、生活者に対して機能を果たすことができる。デザイナーはLという能力を十分に活用しないと人の役に立つデザインができないということです。


[筆者プロフィール]
西川将史 株式会社 TCD チーフプランナー
心理学 × マーケティング × 写真 × デジタルガジェット × サッカー × 子煩悩 ×のコラボでブランドプランニングをオモシロク。