機能とデザイン

TCD’s Philosophy from the Chairman’s Study

201211

隣の国のデザインが取りざたされている。と言ってもテレビ受像機に限ってのことだが、安価の上にそのデザインの目新しさが、我が国のコンシューマにも概ね好評だそうだ。
そう言えば最近、我が国のその種のデザインには、これと言った評価が聞こえてこないばかりか、デザイナーの主張もあいまいなデザインが肩を並べているとの指摘も耳にする。
そんな指摘に対して、メーカー関係者は異口同音に機能の進化と拡充がもたらす製品の優位性を主張し、デザインに関しては何故か口を噤んでしまう。 工業製品の魅力は、優れた機能とその使いやすさを当然のこととして、新鮮なフォルム、美しいグラフィック処理などデザイン効果は、それ以上の必然であることは言うまでもない。
我が国のデザイン力の低下が取りざたされる今日、消費者の感性を満たすデザイン(その種のデザインに限らず)のあり方を、デザイン決定のプロセスを含めて考え直す時期に来ているのでは無いだろうか。
機能とデザインが高いバランスを保っていてこそ、製品の価値も高まると言うものだ。関係者の奮起を望みたい。


山田崇雄 株式会社TCD 代表取締役会長、クリエイティブ・ディレクター
[筆者プロフィール]
山田崇雄 株式会社TCD 代表取締役会長、クリエイティブ・ディレクター
1938年大阪に生まれる。1961年~1971年早川良雄デザイン事務所にてチーフデザイナーを務める。1971年独立。1977年株式会社TCD設立。
大阪府アートディレクター、大阪デザイン団体連合会長などの公職を歴任。現在、日本広告制作協会関西代表、大阪広告協会理事、佐治敬三賞審査委員長、広告電通賞選考委員などを通じ、関西のクリエイティブ界を牽引している。