クリエイティブな人材を育てるには?

4月になると新入社員が入社し、職場の雰囲気も明るくなる、という企業も多いのではないでしょうか。TCDも春から新しいメンバーが増え、迎える私たちも気持ちを新たにしているところです。

新入社員は入社すると、オリエンテーションや新人研修を受けることになると思いますが、企業理念や行動指針といったその企業の根幹を成すものから、電話の応対やメールの書き方といった基本的なビジネスマナーまで、身につけなければいけないことは山のようにあります。学ばなければいけないことが多い分、実際の業務においては、最初は雑用的な仕事になってしまうかもしれません。私自身も新人さんにそういったお願いをすることはありますが、そのときは「なぜそれをやるのか」をきちんと共有したいと思っています。誰しも目的が見えないものに意欲的に取り組むことはできませんし、私たちデザイナーは青色の文字を赤色に変えることはできますが、「なぜ赤色にするのか」「本当に赤色でいいのか」を考えることはとても大切で、その癖は1年目からつけていってほしいと思うからです。

自らを「クリエイティブでない」と認識する日本人

2016年にアドビシステムズが世界5カ国(日本、アメリカ、イギリス、オーストラリア、ドイツ)の、12歳から18歳の子ども達を対象に実施したアンケート調査では、「Do you think you are CREATIVE?=自分のことをクリエイティブだと思いますか?」という質問に対し、「YES」と答えたアメリカ人は47%いた一方で、日本人は8%しかいなかったそうです。日本人は自らを控えめに表現する傾向があるとはいえ、人手不足が深刻化していくこれからの社会では、自らをクリエイティブだと信じ、熱意を持って仕事に向かえる人材を育てていくことは、企業の大きな課題になっていくのではないでしょうか。

「ほめる」人材育成術

三重県の南部自動車学校では、「ほめる教習」を実践することで、生徒のモチベーションが向上し、教官のイライラが減り、会社全体のパフォーマンスが上がったと話題です。ダメ出し指導が続くと、工夫しようという方に心が向かず、ミスをしない方に意識が向かう“指示待ち人間”ができあがると。子育てに置き換えると分かりやすいのですが、叱る指導はお互いにストレスです。その場は収まっても、また同じことが起こります。ほめる指導をすれば、またほめてもらおうと、能動的に動いてくれるようになります。相手のモチベーションを高めるためには、ほめる視点はとても大事なのだと実感します。

とはいえ、自分自身ほめられて育った記憶がない、どうほめていいのか分からない、という方に、ビリギャル※作者の坪田信貴氏が、人を上手にほめる方法についてまとめておられたのでご紹介したいと思います。
※『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(角川文庫)

1.ほめの下地作り=ポジティブな挨拶
全く知らない人にいきなりほめられてもピンとはきません。ほめが効果を発揮するベースは、自分のことをちゃんと見てくれている、という信頼関係。「今日も元気そうだね」「昨日はありがとうね」など、シンプルなことでよいので挨拶を交わすことから、信頼関係作りをしましょう。

2.ほめる練習をする
どんなことでもそうですが、できないことはトレーニングによってできるようになるものなので、例えば目の前にあるコップをほめてみましょう。「取っ手が持ちやすい」や「重さがちょうどいい」など、何かは見つかるはず。対象物のよいところを見つける練習になり、ほめのボキャブラリーも増えていきます。

3.過去と比べて成長した部分をほめる
営業成績やテストの点数など、絶対数値だけで評価をしてしまうと、ほめる基準は固定化してしまい、下手をすると長時間労働の種にもなりかねません。丁寧なコミュニケーションを増やし、以前に比べて伸びた部分を伝えてあげることが大切です。

ほめるのが上手い人はプレゼン力も高いといいます。相手のよいところを見つけ、そこに自分のポジティブな気持ちをのせてフィードバックすることで、より強い信頼関係が生まれる。私も、相手のやる気を引き出し、自分のストレスを手放す、ほめ上手な人間を目指していきたいと思います


[筆者プロフィール]
青木 睦 株式会社TCD デザインディレクター
京都工芸繊維大学 工芸学部 造形工学科卒。
CI・VIデザインの経験をベースに、エディトリアルからパッケージまで、「整数値」なデザイン求めて奔走中。