ブランディングとデザインの関係(2)

こちらの連載では、ブランディングの主にコミュニケーション・フェーズにおけるデザインの役割について考えていきたいと思います。今回は、第2回目になります。


1. ブランドの「見え方をデザインする」
2. ブランドと顧客との「接点をデザインする」
3. ブランドが提供する「体験をデザインする」


●接点をデザインする、それは接点を見つけるテクノロジー

 昨今では「デザイン」に求められる役割、範囲が広がっており、従来のデザイン(Art, Function:美しくデザインする、機能性をデザインする)に加え、前回ご説明したデザイン・マネイジメントやブランディングがまさにそうであるように、経営に直結するデザイン(Business:経営戦略としてのデザイン)が求められています。
また今回のテーマのように、情報化が進む社会にあっては顧客との接点を生み出す「技術」としてのデザイン(Technology:メディア・デザイン、コミュニケーション・デザイン)も必要となります。これらのデザインを個別に捉えるのではなく、連携することを前提にブランド・コミュニケーションを設計することが多くなりました。

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顧客との接点を考える上で、インターネットの重要度はもはや説明の必要はないと思いますが、スマートフォンが普及しその重要性は次のステップへと移行したように思います。

ニールセンの2015年度「ニールセン新商品購入に関するグローバル調査レポート」では、新商品を知る情報源として1位にインターネット検索が上がっており、この3年間で11ポイントアップ、逆にテレビ広告は9ポイントのマイナスになっています。

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また、アドビ社の「Adobe Digital Marketing Discovery 消費者行動調査」では、6割以上の消費者が店頭で気になった商品についてその場でスマートフォンで調べるという結果も出ており、店頭とデジタルを横断した顧客体験が重要になっている、と伝えています。
今後、店頭で実物を見ながらスマートフォンでも調べるという消費者行動は、一層高まってくるのではないでしょうか?

このように顧客がブランドを「初めて知る場」であり、ブランドの「購入を検討するツール」でもあるインターネット。しかし、その参照先は比較サイトやレビューサイトなど、第三者評価を参照することの方が多いでしょう。そした中、ブランド発信側としてはどのように顧客との接点を生み出せばよいのでしょう?
今回はテクノロジーの側面から、いくつかのサービス、事象を拾っていきたいと思います。

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●広告配信を自動化してしまうDynamic Search Ads(Google)

インターネット上の接点は「検索」から始まることが多く「Google」の存在は無視できません。また様々なサイトに表示される「ディスプレイ広告」においても、Googleの独占が現実味を帯びてきました。

そんなGoogleが毎年発表している『Inside AdWords(グーグル・アドワーズ広告インサイド)』というカンファレンスがあります。

こちらでもやはり「A mobile-first world(モバイル・ファーストの世界)」が主題にされており、最近のニュースでは、2016年からサンフランシスコの一部で提供されていた『ホームサービス広告(Google Home Services)』が、カルフォルニア州全域に拡大されたそうです。簡単に言うと、Googleマップと広告とが組み合わさった地域密着型のサービスになります。日本での提供が始まれば、「検索」はよりリアルな世界と結びつくことになるでしょう。

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また、前年その強化が発表された『Dynamic Search Ads(動的検索広告)』は、より効率的に広告主と顧客との接点を生み出すテクノロジーです。これまで広告主は特定のキーワードを設定し広告配信する必要がありました。しかしDSAでは、広告主は見て欲しいページを指定するだけで、そのページから有効なキーワードが自動的に抽出され、そのキーワードに興味のありそうなグループに自動的に発信されます。

このように、日進月歩に進むまたは改良されるテクノロジーを理解し活用することが今後ますます重要になります。

●画像検索は画像を検索するだけのものではない

上記のカンファレンスでも紹介されていた「画像検索」について、例えば自動車製品の画像検索は前年比で37%増加していて、その80%がモバイルからの検索だそうです。
ちなみに、日産自動車のグローバル調査によると「自動車購入までにショールームに来る回数が、従来の7回から最近では2回にまで減少している」という結果が出ています。これは画像(車のデザインや色)だけでなく、細かなスペックなどの要素もネット上で確認していることを示しています。

最近では画像を探すためではなく、目的のページにより早く辿り着く方法として画像検索が行われることもあります。
ブランド発信側としては、どのように画像検索結果にヒットするか、表示されるかという視点は、顧客接点としても意識する必要がありそうです。

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●コンテンツ・マーケティングで気をつけたいこと

コンテンツ・マーケティングは今、「自社メディアの活用」「自社プラットフォームの構築」として、様々な企業、事業、ブランドで取り組まれているテーマではないでしょうか。
しかし、広告でリーチ出来ない顧客との接点を設ける手法として、関係を維持して購入を促進するチャネルとして、またはクチコミを誘発させる目的に、宣伝的な発想で取り組むとプロダクトアウトな情報発信になってしまい逆にファンの支持を得ることはできません。

あくまでも、顧客とブランドとの「共通の話題づくり」みたいなものとしてノンコマーシャルに捉えることができれば、逆にそれは非常にパーソナルなブランディングに繋がるのではないでしょうか。
最近、企業活用も活発なインスタグラムの企業アカウントランキングを見てみると、上位にはファン層の厚いアパレルブランドや、コアユーザーが集まる自動車メーカーが並んでいます。またムービーなどを織り交ぜ、ファンサービスを行うブランドも目立ちます。そんな中から感じる要素を拾い出してみると

  1. 見る人の笑顔を想像しながら運営されている
  2. ファンの期待に素直に応えている
  3. ムリなくブランドの得意な部分に集中されている
  4. らしいライフスタイルが提案されている
  5. 店員に接しているような温度が感じられる

これらはインスタグラムに限らず、フェイスブックやブログの運用、自社プラットフォームからの情報発信においても参考になるヒントです。

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さて、今回はやや技術的な話題を取り上げてみましたが、次回はこれらの「接点」の先にあるコンテンツ、ブランド体験のデザインについて考えてみたいと思います。


筆者プロフィール
川内 祥克 株式会社TCD クリエイティブ・ディレクター
企業ブランド、事業ブランドやサービス・ブランドの立ち上げ、プロモーション業務に従事。『ブランドのウェブ活用』などのセミナーも開催。