ブランディング・メソッド・コラム 
ブランドの存在を広める!デジタルプロモーション(第一回)


 1.「デジタル・プロモーション」の現在形 〜インターネット広告の種類とトレンド
 2.「伝達力 × 表現力」で高める 〜デジタル・プロモーションの効果
 3.「伝える」から「伝わる」へ 〜顧客体験を設計するブランド・シナリオ




ブランドの能力を引き出すー今30%程度しか引き出せていなければ、残り70%のポテンシャルをどのようにして発揮するか。

今回のブランディング・メソッド・コラムは「ブランドを多くの人に知ってもらうための仕組みづくり」として、デジタル時代のブランドの伝え方を考えていきたいと思います。


■プロモーションの起点は、スマートフォンが中心に

まず始めにプロモーション全体の動向として、電通が2017年2月23日に発表した「2016年日本の広告費」を見ると、インターネット広告の媒体費が初めて1兆円を超え、その内スマートフォン広告の媒体費だけでも新聞広告を抜く結果が出ています。インターネット広告の内訳では、スマートフォンがPCを抜きました。


また、メディアとしてテレビの力はまだまだ衰えていませんが(前年比101.7%)、総務省が東大大学院などと調査した年代別メディア利用状況によると、年代が低いほどインターネットの利用時間が長く、10~20代ではインターネットの接触時間がテレビを上回る結果となっています。


スマートフォンでの映像コンテンツの視聴時間も増えており、今後もテレビ番組はなくなりませんし、新聞もなくなることはありませんが、ユーザーの行動様式に則して考えると、プロモーションの主戦場は、これまでの「広告媒体」から、インターネット上の「プラットフォーム」へと、アマゾンやフェイスブック、または個人のブログやソーシャルネットワークなどのプラットフォームへと移行していくでしょう。

ブランドを伝える上でのデジタル・プロモーション、とりわけモバイル・ファーストでユーザーとのコミュニケーションを組み立てる事が、さらに重要になってきます。


■わかりにくいインターネット広告。その種類とトレンド



さて、モバイル・ファーストでも「3つのメディア」の考え方は有効です。今回は左下の買うメディア(Paid media)を中心に見ていきます。
D2C/CCIが2017年04月17日に発表した「2016年インターネット広告市場規模推計調査」に沿って、スマートフォン広告の内訳、その種類を確認していきましょう。

・検索連動型広告

最もポピュラーなネット広告手法で、グーグルやヤフーで検索を行った際に検索結果ページに表示されるテキスト広告です。スマートフォンでも「まず検索」といったユーザー行動はPCと同じで、顕在化したユーザーとの接点づくりに最適です。逆に、ユーザーの検索結果に表示されない事は大きな機会損益になります。
また検索連動型広告を発展させた動的検索広告(DSA)も注目されています。こちらはキーワードを設定するかわりに、ユーザーに訪れてほしいページを登録すると、関連性の高いキーワードが検索された時に広告配信が行われます。

・ディスプレイ広告など

こちらは関心のあるキーワードやトピックスなどユーザー属性を元に表示される広告で、Yahoo!のディスプレイアドネットワーク(YDN)や、Googleのディスプレイネットワーク(GDN)を介して様々なサイトに表示されるバナー広告が代表的です。
顕在化したユーザーだけではなく潜在層にもアプローチできるメリットがあり「検索連動型広告」と、ほぼ同じボリュームで活用されています。
またこちらには、一度サイトにアクセスしたユーザーに対して広告を表示する「リマーケティング」も含まれます。リマーケティングは繰り返し表示される事で敬遠されるケースもありますが、特にECサイトなどでは表示するタイミングや回数をコントロールし、検討ユーザーに効果的にリマインドすることが可能です。


・ソーシャル広告

フェイスブック、ツイッター、ラインなどのタイムラインに表示される広告です。10代、20代のSNS利用時間は特に長く、最近では動画広告も有効な手法になってきています。上記の図でも最も伸びている手法で、映像もさることながら、ハッシュタグやライク、シェアなど、さまざまなカタチで二次効果、三次効果を狙うことができます。
また、フェイスブックページへの「いいね」やツイッター、インスタグラムの「フォロー」のように、ユーザーとのつながりを作ることも可能で、リーチを増やすのかファンを増やすのか、適切なメディア・デザインが必要になってきます。


・予約型広告

ニュースサイトやメディアサイトなどに掲載される純広告、タイアップ広告、バナー広告など、一般的な「広告」に近い形態のネット広告です。こちらは特定のサイトに掲載されるため、雑誌広告のようにセグメントを絞り込む事ができます。
特定サイトの読者はそのサイトへのロイヤリティが高く、ブランドが目指す方向に近いサイトを利用し、ブランドイメージの向上に役立てる事ができます。またタイアップ広告であれば、記事広告のように説得力を持って伝える事も可能です。


・成果報酬型広告

一般的にアフィリエイト広告と呼ばれる広告形態で、A8.netやValue Commerceといった
アフィリエイトASP(媒体と広告主の仲介会社)により、ポイントサイトやランキングサイト、個人サイトなどに掲載されます。
他のネット広告との違いは、ECであれば購入、アプリであればダウンロード、キャンペーンであれば資料請求などのコンバージョンに対して初めて費用が発生します。
但し、掲載するかしないかはアフィリエイター(媒体運営者)次第なので、掲載の保証がなくASP利用料だけが発生してしまうということもあり、運用においては注意が必要です。


■さらに複雑化、高度化するデジタル・プロモーション

さて、大きく5つのカテゴリーでネット広告の種類を見てきました。実は各カテゴリーの中ではさらに細分化されていますが、上記の5つだけみても非常に複雑です。しかし、ただキーワード検索対策をやっていれば良いという時代ではない、とも言えます。

更に今後は、上記で少し触れました動的な広告の活用が増えていきます。アクセンチュアはAI主導のプログラマティック動画広告を推進していくと発表しました。そちらでは、AIが視線追跡シミュレーションを実行し、ある動画に対するアテンションヒートマップを自動的に作成。それを元に映像コンテンツに広告(例えばロゴマーク)を埋め込むというシステムを開発しているそうです。このようにインターネット広告のテクノロジー「アドテク」は絶えず発展し、新しい手法へと更新されています。



国内でも、今年に入ってDMP*サービスのリリースが続いています。


『ぴあ』、国内最大級のライブ・エンタテインメント/レジャーのプライベート DMP「PIA DMP」本格提供開始(2017.05.23)

「ITmedia DMP」提供開始~当社メディアの広告商品群をデータの力でバリューアップ~(2017.06.01)

セールスフォース・ドットコム、 革新的なデジタル広告を実現するデータ管理プラットフォーム 「Salesforce DMP**」を国内で提供開始(2017.06.13)


DMP*:データ・マネジメント・プラットフォームの頭文字で、ネット上に蓄積されたユーザーデータを元に広告配信するプラットフォーム。
DMP**:Salesforce DMPの前身Kruxは、今年3月から日経IDと連携したサービスの提供を開始。



インターネット広告の複雑化が進むと同時に、ユーザーデータを活かした「アドテク」がさらに高度化していきます。今後は、どの手法を採用しどういった配分で運用するか、メディアの使い方自体をデザインする必要があります。

今回は「買うメディア(Paid media)」を中心に、その種類を見てきましたが、次回は「得るメディア(Earned Media)」について見ていきたいと思います。



筆者プロフィール
川内 祥克 株式会社TCD クリエイティブ・ディレクター
企業ブランド、事業ブランドやサービス・ブランドの立ち上げ、プロモーション業務に従事。『ブランドのウェブ活用』などのセミナーも開催。