エディトリアルデザインの役割〜I’m Here!〜

こちらの連載では私が携わることの多いエディトリアルデザインについての考察をしていきます。エディトリアルデザインについての考察の2回目は、なぜ「ハーフ&ハーフ」なのか掘り下げます。


1. ハーフ&ハーフ
2. I’m Here!


I’m Here!

本、雑誌、カタログ、冊子など接する場所はそれぞれ違いますが、「興味を持ってもらう→手にとってもらう→読んでもらう」とならないと意味がありません。分かりやすい接点の例として書店を想像してみてください。各ジャンルに区分されてはいますが、あの膨大な量の本たちは言わばライバルです。さまざまな色使いやテーストでそれぞれ沢山のメッセージを発信しています。その中で「I’m Here!」と訴え、内容への期待感を盛り込めたデザインが上手いデザインではないでしょうか。
「I’m Here!」と訴える広告的なチカラが表紙にあってこそ、手に取られコミュニケーションの第一歩が始まります。そしてページをめくり、魅力的なデザイン表現によって掲載内容が心を掴むことでアクションへつながると、そのエディトリアルデザインは成功と言えます。

ただ、何でもかんでも存在感があればいいものでもありません。
例えば高級ブランドが培ってきたイメージと全然毛色の違う表現をしてはNGです。顧客に気づかれないどころか今までの信頼を裏切ることになり、結果、顧客離れにつながってしまいます。様々な媒体とその性格、用途があるなか難しいことですが、「たらしめる」ことは必要です。接点における存在感だけで訴求するのではなく、どう発信(表現)すべきか、どう受け取ってもらうべきかブランディングの観点で表現をコントロールし、エンドユーザーにいち早く識別・認識させることが重要です。

分かりやすい例として、先日意外な会社から出版された書籍があります。アップルデザインの20年の歴史をプロダクトの写真を通して語る、アップルの価値観や哲学が浮き彫りになった書籍です。表現として少々極端ですが、紙やインクに至るまでのこだわりとデザインから、アップルらしさが全面に出ています。apple.comとApple銀座でのみ販売されるため、一般の書店で並んでいる状況を目にすることはできませんが、そのエディトリアルデザインは書店にあっても十二分に存在感を放つはずです。


参照) http://www.apple.com/jp/designed-by-apple/


[筆者プロフィール]
小川 智之  株式会社TCD デザインディレクター
京都精華大学 芸術学部 デザイン学科 ビジュアルコミュニケーションデザイン専攻 卒。
エディトリアルを中心にAD、パッケージ、WEBと幅広く業務を遂行。比類なき“オモシロイ”を目指し日々精進。