2017.03.31

エディトリアルデザインの役割 〜新・深い会社案内〜

こちらの連載では私が携わることの多いエディトリアルデザインについての考察をしていきます。最終回は、エディトリアルのNext Stageを考えます。

エディトリアルデザインの役割

新・深い会社案内

エディトリアルデザインは世間の膨大な量の編集物の中、編集デザイン成分と広告デザイン成分の「ハーフ&ハーフ」で、「I’m here!」とユーザーにいち早く識別・認識させることが重要と書きました。それは電子書籍などのデジタル世界でも同じで、定額読み放題サービスで無数に並ぶ表紙デザインやアイコンに見ることができます。
ただ、現在よく見られる雑誌などのデジタル版はデジタル化への移行の過渡期の産物で、本来電子書籍は紙媒体のコンパクト版ではなくデジタルに応じた深みがあるべきです。エディトリアルのNext Stageはそこだと考えます。

2010年、iPadの登場により電子書籍が一時脚光を浴びました。当時の代表的なものとしてiPad版最初の「WIRED」(コンデナスト・パブリケーション)や深海に住む様々な生物を収録した電子書籍「深海の変わった生きもの」(幻冬舎)があります。革新的でエディトリアルの未来を醸成させるものです。紙では不可能なデジタルならではの動画掲載や縦横可変レイアウト、ハイパーリンクにより情報やデザインに深みが生まれました。しかし色々な条件(ネットワーク容量、スマホの普及率や性能、対応フォーマットや権利etc.)で時代を先取り過ぎたのか期待ほど普及しませんでした。


参照)WIRED(コンデナスト・パブリケーション)左、深海の変わった生きもの(幻冬舎)右

インプレスの発表によるとスマホやアプリの進化・普及により、2015年度の電子書籍市場規模は前年比21.5%増で1,584億円、2020年度は3,000億円の成長が見込まれています。世間一般に電子書籍に対するリテラシーが上がることで、雑誌類にとどまらず様々なエディトリアルツールのデジタル化が予想されます。しかし全てのツールに動画などによる深みは必要なく、エディトリアルデザインのNext Stageには大きく3つのスタイルが考えらます。ファッションや情報などの「移り変わる情報を発信するスタイル」と会社案内などの「情報を詳しく伝えるスタイル」、年鑑などの「情報を残すスタイル」で挙げた順に情報の深度が増すイメージです。

初代iPadの発表から7年、ハード面は充実し動画がより日常的に配信される今、エディトリアルデザインのNext Stageに踏み込んでいける時期ではないでしょうか。例えば会社案内をデジタル化することで、活字では伝わりきれなかった会社の魅力が引き出され、理解が深まります。今まで「紙」で見えなかったものが見えると、新しいビジネスの関係や発見につながっていくでしょう。

参照) 株式会社インプレス  電子に関する調査結果

エディトリアルデザインの役割

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