企業ブランディング2017〜モチベーションをコントロールする秘訣、教えます〜

こちらの連載では、企業ブランディングについて三回にわたり考察していきたいと思います。第二回目は、「モチベーションをコントロールする秘訣」についてです。


1. 「働き方改革」は究極のインナーブランディング
2. モチベーションをコントロールする秘訣、教えます


よしもと黄金列伝」というテレビ番組をご存知でしょうか。大阪の読売テレビのローカル番組なので、関西在住の方にしかお分かりいただけないかも知れません。月亭八方、陣内智則、月亭方正の3人が司会で、ゲストのよしもと所属の芸人がこれまでの人生を、当時感じていた幸福度を数値に表した「幸せ不幸せグラフ」をもとに振り返るという番組です。

この番組が意外と面白く、ついチャンネルを合わせてしまいます。これまで順風満帆で来たとしか思えない人が、人気絶頂期の幸福度が-100点だったり、仕事が激減して貧乏暮らしをしていた時のほうが高い点数だったりします。また、相方やライバルに抱いていた嫉妬の気持ちを語ったり、つい相手を傷つけてしまった言葉を今も引きずっていたりと、普段見せない芸人の素顔や人間性が垣間見えるところがこの番組の醍醐味なのかなと思っています。

出てくるゲストは皆一様に「幸せ不幸せグラフ」が乱高下しています。芸人ですから波乱万丈は当たり前なのかもしれませんが、私たち普通のサラリーマンもこれまでの人生をグラフ化してみると、案外浮き沈みが激しいかも知れませんね。この時期はやる気満々で充実していたなあとか、この時期は本当に会社に行きたくなかったとか、それなりにいろいろありますよね。このように「やる気」のアップダウンの理由を分析することは、健全なモチベーションを保つ上で「意味ある作業」になるようです。

神戸大学の金井壽宏教授は、モチベーション、リーダーシップなど日本のキャリア研究の第一人者です。金井教授は「やる気」にはアップダウンがあって当り前、それを左右する要因を知ればうまく自己調整できるようになる、と言われています。まず最初にこれまでを振り返って「やる気!チャート」を作る。「あそこで頑張れたのはなぜだろう」「あの時、落ち込んでいた原因は」というように、自分自身の気持ちを分析する。この作業をたとえば1年の振り返りに使ってみる。これを毎年繰り返して、自分の気持ちに対峙しているうちに、自分だけのパターンが見えてくる。これを「公式=セルフセオリー」として自覚できれば、モチベーションを適切にコントロールできるようになるようです。図に示した「モチベーションを左右するファクター」のうち③の持論系に該当します。

よく経営マネジメント課題として、社員のモチベーションを高めるために何をすべきかということが取りざたされます。やる気のアップダウンの要因は千差万別であり、全社一律の施策だけではどうしても限界があります。働く価値観が多様化した今、この「セルフセオリー」によるコントロールの重要性が高まってきています。他者から与えられたものよりも内在的に出てきたモチベーションのほうが間違いなく強いですしね。そしてマネジメントの役割はこうした気づきを促し、適切にリードしてあげることだと思います。よしもと黄金列伝の「幸せ不幸せグラフ」は、冗談抜きにしてマネジメントツールとして活用していけるかも知れません。


[筆者プロフィール]生山久展 株式会社TCD 取締役 クリエイティブディレクター
戦略開発、調査・分析、商品開発、販促展開まで幅広いブランディング業務に従事。
30年余の実務経験をベースに、的確な現状分析から本質的な課題解決のプランニングを得意とする。