子育て×デザイン 〜今どきのランドセル事情〜

「子育て×デザイン」では、TCDで働いているママスタッフ達で立ち上げた「ママデザイナープロジェクト」のメンバーによるコラムをお届けします。

小学校入学を控えたお子さんのいるご家庭では、この時期直面するのがランドセル選び。昨年には「ラン活」という言葉も生まれ、人気ブランドのランドセルを求め保護者たちは奔走しています。商戦時期のピークは10年前だと年末年始だったのが、ここ数年で夏頃に大きくシフト。昨年はGWから販売が始まったと思えば、さらに今年は髙島屋が4月1日に売り場を設置するなど、年々ピークは早まり市場は活気を見せています。デザインも機能も多種多様になり、非常に豊富なラインナップで進化し続けるランドセル。今回は子育て中のTCDスタッフでランドセル市場の“今”をウオッチしてみました。

1) 進化を重ねた機能性!大手専門メーカーのランドセル

所 美由紀 チーフマネージャー/1歳女児の母

人気上位を占める大手専門メーカーには、「天使のはね」のセイバン、「フィットちゃん」のハシモト、「ララちゃんランドセル」の羅羅屋、「ふわりぃ」の協和、などが挙げられます。これらのメーカーで特筆すべきはその機能性です。私が小学生だった頃を思い返すと、全ての荷物を入れるとランドセルが後ろに引っ張られ、体の小さい低学年の頃はとても重く感じました。さらに走るとランドセルが体にぶつかって痛かったり・・・。今は違います。より軽く、よりフィットし、背負いやすいランドセルを各メーカーが追求していて、肩ベルトや背カンと呼ばれる部分の改良で、重たい荷物を入れても肩や背中にランドセルが密着して圧力を分散し、より軽く感じるようになっています。

セイバン「天使のはね」

耐久性についても、変形を防ぐために芯材が二重構造になっていたり、素材メーカーと共同開発した傷つきにくい素材を採用していたり、6年間キレイなまま使える、ということもよく考えられています。ランドセルの側面には給食袋などをかけるフックが付いていましたよね。今のフックは防犯対策として強い力で引っ張られると外れるという機能がついています。また、防犯ブザーを取り付けられるフックがついていることも、昔のランドセルにはなかった機能です。「大手専門メーカーのランドセルを選んでおけばまず間違いない」と話す保護者も多く、ブランドへの信頼度が強く求められる市場だということがよく分かります。

2) 圧倒的シェア、流通大手のランドセル

青木 睦 デザインディレクター/5歳双子女児の母

2016年にセイバンが行った調査では「ランドセルを買った場所」の第1位は総合スーパーで、全体の約半数を占めています。中でもイオンのシェアは非常に高く、小学生の3人にひとりはイオンで買ったランドセルを背負っているという数字もあります。イオンは2001年に業界初の「24色ランドセル」を発売し、市場の火付け役となりました。これを機に各メーカーが赤と黒以外のカラーランドセルを製造するようになり、今となってはすっかり定着しています。流通系2番手はニトリ。平均5万円と言われるランドセル市場の中では格安の2万円台のランドセル「わんぱく組」を展開しています。中国製になりますが、テイジンと共同開発した丈夫な素材のシリーズなどもあります。男の子向けのスポーティなデザインや、女の子向けのキルティング風デザインなど、華美すぎずシンプルすぎず、デザイン性もとても工夫されています。

ニトリ「めちゃピカわんぱく組」

イトーヨーカドーは、セイバン「天使のはね」と共同開発した自社ブランド「Fine Fit」を展開していますが、2018年モデルはサーティーワンアイスクリームとコラボしたモデルを発売。“ポッピングシャワー”や“ベリーベリーストロベリー”をはじめ、6種類のアイスのフレーバーをモチーフにしたデザインとカラーを採用し、女の子心をくすぐるポップな製品になっています。

イトーヨーカドー「フィットちゃん サーティワンコラボ」

業界全体を動かすパワーやキャッチーな企画力など、流通大手ならではの開発からは、やはり目が離せません。

3) TCDスタッフの注目度も高い工房系ランドセル

浜中 徳子 デザイナー/小学6年生女児の母

10年程前から「工房系ランドセル」に注目が集まっています。最近では本革の茶色いランドセルを背負った小学生をよく見かけるようになりましたよね。
「工房系ランドセル」とは、量販店などで販売される大量生産のランドセルに対して、職人が手仕事で少量生産をするランドセルのことを言います。オーダーメイドでひとつひとつ手作りしますので、その分完成するまでに時間がかかりますが、情熱を持ってこだわりのランドセルを作り続けている工房が多いため、本当に良いものを望む人から熱い支持を受けています。代表的な工房をいくつかあげると、萬勇鞄、鞄工房山本、池田屋、中村鞄、土屋鞄など。その中でも、TCDスタッフの間でも注目度の高かったのが「土屋鞄」です。
「土屋鞄」は、創業者の土屋國男さんが1965年に土屋鞄製造所を立上げ、50年以上にわたってランドセルを作り続けている工房です。元々革製品のブランドですので素材にはこだわりが強く、丈夫さや美しさにも妥協を許さず、一つのランドセルを作り上げるのに、なんと300にも上る工程をふむのだそうです。子供の体に寄り添う造りや、ミリ単位まで定められた縫い目の位置など、その他見えない部分にまで行き届いた細やかな配慮に情熱を感じます。

土屋鞄「牛革プレミアム」

6年間という長い時間を、子どもと共に過ごすランドセル。健やかな子どもの成長を願う親にとって、このような温かみのあるランドセルを選んであげたいと思う親の気持ちは、すごく自然なことのように感じます。また「シンプルで飽きのこない美しさ」というのはデザイナーにとって永遠のテーマ。そんなモノづくりをされている「土屋鞄」に、TCDスタッフは共感を覚えるのかもしれません。

4) 男の子向け、個性派ランドセル

池浦 由美 チーフデザイナー/5歳男児の母

男の子の個性的なランドセルもいろいろと増えています。「フィットちゃん」から出ている「ハンサムボーイ」はメタリック調。宇宙や乗り物など、男の子が好きな要素をイメージさせるデザインになっています。大阪のランドセルブランドLIRICOから出ている「RODEO(ロデオ)」は、ウエスタン調のデザインがファッショナブルで個性的ですね。モチーフが蹄鉄だったり、世界の古地図だったり、ウエスタンを極めています。

左:ハシモト「フィットちゃん ハンサムボーイ」/右:LIRICO「RODEO」

続いては、ランドセル×アート。その名も、「アンディウォーホルランドセル」。三越伊勢丹限定、数量限定で販売されています。内側のデザインは、新たに版を起こして印刷され、前ポケットにも同じアートやサインの型押しがあったり、カラーにより細部の作りも違っていたり、とことんこだわって作られています。
最後は、お値段にびっくり、15万円のランドセルです。それもそのはず、レクサスブランドから昨年出されたランドセルなのです。素材に、レクサス「LFA」にも使われているカーボン繊維「リアルソフトカーボン」と最高級の人工皮革「ベルバイオ」を使用しているそう。きっとこれを背負った子はレクサスで送り迎えされるのだろうなと想像してしまいました。

左:三越伊勢丹「アンディウォーホルランドセル」/右:レクサス・ランドセル

他にも、男の子に人気のスポーツブランドのランドセルもたくさんありました。男の子も、おしゃれに敏感になってきて、かっこよくて人とは違うランドセルがいいという子が増えてきているのかもしれませんね。

5) 女の子向け、個性派ランドセル

福島 淳子 管理部/5歳女児の母

こんな個性的なランドセルを見つけました。アパレルメーカーが販売するランドセルです。

ナルミヤ・インターナショナル(左:mezzo piano「ヴィクトリアローズノヴェル」/中:mezzo piano「ドレスドフルールランドセル」/右:ANNA SUI mini「ミスティヴィオラ」)

左:Innocent World「奇跡の夜空」/右:BeBe「フェアリー バニーロン」

どれもブランドが持つ世界観を壊さず、デザインもネーミングも独自路線を進んでいるように思います。購入層もそのブランドが好きな顧客や、人と同じ物を好まない少数派に絞られそうですね。子供が持ちたいランドセルというより、親が子供に持たせたいランドセルと言えるのではないでしょうか。見た目にもインパクトが有り、装飾や刺繍、内部のディテールにまでこだわり、機能性よりもデザイン性を重視したランドセルに感じました。価格帯については想像通り高く、10万円を越える商品も少なくないですが、購入者の満足度は高いかと想像します。実際に使う子供の目線や、過度に目立ち過ぎる印象を考えると賛否両論ありそうです。