グローバルネーミング開発のススメ

1回目:新事業・新製品担当者が知っておきたい「ネーミング」開発のポイント
2回目:ネーミングのトレンドと発想法
3回目:グローバルネーミング開発のススメ

近年のネーミングのトピックスの一つとして「グローバルネーミング」の依頼が多くなっています。
一方で、当初から海外での事業展開も視野に入れているが、ネーミングとしては、グローバルネーミングが難易度・コスト面から「まずは日本市場向けだけに」というお話もよくお聞きします。

日本のグローバルネーミングの現状

グローバルネーミングの統計上の指標のひとつとして、日本国特許庁に国際登録出願することにより、指定した複数の締約国(2016年3月:97ヶ国)で商標の保護が受けられるマドリッド・プロトコル制度による国際登録出願(以下「マドプロ国際登録出願」)の件数推移があります。
2015年の日本国特許庁への商標登録出願は、全体で14万件を超え、高水準でしたが、マドプロ国際登録出願件数は、近年と変わらず全体のうち11%弱で推移しました。
また、国別のマドプロ国際登録出願件数は、日本は第8位にとどまっています。まだ歴史が浅いため、制度や申請実務の知識不足もあると思いますが、言語的な障壁も大きい多いのだと思います。

日本国特許庁 商標登録出願件数(2015年)

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マドプロ国際登録出願 国別出願数(2013年)

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グローバルネーミング開発の壁

グローバルネーミングの場合、英語などをベースにしたもの、もしくは英語系の造語が案出の定石と言えますが、案出後、以下の検討点があります。

1.対象国での商標調査

登録出願は各国での直接出願のほか、前述のマドプロ国際登録出願による一括での出願も可能ですが、商標調査は原則各国ごとの調査が必要です。中国でアルファベットのみの商標の場合、語頭の3~4文字が同じ場合、類似の可能性が高いなど対象国によって審査基準は異なります。

2.対象国でのネイティブチェック

対象国において、スラングなどネガティブ表現に該当しないか、宗教面で問題ないかなどチェックが必要です。

3.Googleなどの検索エンジンでも一般検索

対象国における登録商標だけに関わらず、全世界における同一、類似のチェックは重要です。国によっては、商標登録の有無より、使用実績が重要視される場合もあります。

参考:ネーミングと商標 003:グローバルでのブランドネーミング開発における3つのポイント

様々な「壁」がありますが、最も難易度が高く、コストがかかるのは、「商標調査」だと思います。
最終的には各国の専門代理人(弁理士)の調査を行う必要はありますが、近年、公的機関が提供する無料のオンライン検索サイトが充実してきましたので、是非活用して、効果的なネーミングの案出・候補の絞り込みに役立てていただければと思います。
以下、WIPO(世界知的所有権機関)などが提供しているオンライン検索サイトをご紹介します。

オンライン検索サイトのご紹介

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ROMARIN ※WIPO(世界知的所有権機関)提供
マドプロ国際登録出願制度で登録されたすべての国際登録商標が検索できます。
ROMARINサイト
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Global Brand Database ※WIPO(世界知的所有権機関)提供
国際登録商標ならびに、日本、米国、カナダ、シンガポールなど各国直接出願している登録出願商標も検索できます。
Global Brand Databaseサイト
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TM View ※OHIM (欧州共同体商標意匠庁)提供
OHIM、日本、米国、韓国、ロシアなど43の国と機関の登録出願商標が検索できます。
TM Viewサイト
TCDでは多様な国で展開するグローバルブランドの開発のために、海外における商標調査・ネイティブ調査を含めてネーミング開発を行っています。これからも、お客様のニーズに最適なサービスをご提供してまいります。

[筆者プロフィール]
谷田 治 株式会社TCD マネージングディレクター
立命館大学 経営学部卒。在学時にデザインマネジメントを学び、TCDに入社。
BtoC、BtoBを問わず、多様なプロジェクトの企画、ネーミングならびにマネジメント業務を担当している。