ペーパーレスとスペシャルコンテンツ

2010年、ePub2.0の登場と電子書籍への注目から、大学案内や会社案内など100ページクラスの印刷物のペーパーレス化と業界に及ぼす影響が騒がれて久しくなりました。
当時ペーパーレスが警戒されたものの、大学案内パンフレットや告知ツールに関して、ようやく近年印刷物をやめ、情報をほぼWEBサイトに移行している大学も出てきています。
デザイン視点で見た時に、スマホファーストになることで印刷物と大きく変わると思う点は、サイト全体の事としては「競合との差別化がされにくい、構成要素としては「リアリティや空気感を伝えてきた写真のあり方が変わる」ことです。

ケータイが情報収集や閲覧をするメインの媒体になるにつれ、フォーマット化されたWEBページは競合相手との差別化が図りにくくなると感じます。リアリティを伝えてきた写真は小さなイメージカットやタイトルバーで用いられることが多くなっており、これまでA4もしくは見開きA3のスペースで伝えてきた写真のクオリティやスケール感は不要になりつつあります。
そこで重要になってくるのが、スペシャルコンテンツ(以下「スペコン)の存在と充実です。
スペコンページの充実が「らしさ」や「雰囲気」の訴求を補い、差別化や伝えたいブランドイメージを表現する場となると考えます。

大学で最初にパンフレットをやめる決意をしたのは東洋大学です。印刷物を作らない代わりに今までのやり方を見直し、高校生やその保護者に対し不足のないアプローチやフォロー、WEBサイトの情報設計を綿密に計画されてのことでしょう。資料請求がない分、メルアドなどの取得から受験生に対し小まめなアプローチを行い、存在感をキープしています。

東洋大学のモバイルサイトを見るとパンフレットがない分、テキスト情報が多いもののページ自体はシンプルで、ページ遷移は分かりやすく設計され、映像コンテンツも充実しています。
スペコンページはトーン&マナーの意識が高く、写真が大きく扱われ、アカデミックで実直な印象を持ちます。加えて映像とアクションを盛り込みながら、訪問者を飽きさせない工夫もされています。

また、立命館大学の場合は教職員や学生をクローズアップする内容が充実しており、閲覧する人に親近感を抱かせ、人と人の距離の近さを感じさせています。
このようなことから、スペコンページの充実が、競合との差別化や伝えたいブランドイメージを表現する場となっていると考えます。

<参考>
東洋大学
http://www.toyo.ac.jp/
https://www.toyo.ac.jp/toyo2018/

立命館大学
http://www.ritsumei.ac.jp/
http://www.ritsumei.ac.jp/bb/


[筆者プロフィール]
小川智之  デザインディレクター
株式会社TCD グラフィックデザインセクション
京都精華大学 芸術学部 デザイン学科 ビジュアルコミュニケーションデザイン専攻 卒。
エディトリアルを中心にAD、パッケージ、WEBと幅広く業務を遂行。比類なき“オモシロイ”を目指し日々精進。