パッケージデザイナーが見る 〜海外市場で戦うパッケージから、未来に思いを馳せて〜

先日、里帰りをしていたタイ人のスタッフから、お土産で馴染みのある日本メーカーのタイヴァージョン・デザインのお菓子と、タイでオープンしたという日系のドラッグストアの写真をいただきました。
そのドラッグストアの写真は日本のお店と全く変わらない黄色のカタカナの店名。「薬」と大きくかかれた漢字。どこにもタイ語は書かれていません。
日系なだけに、多くの日本製品が並んでおり「made in japan」や日本のアニメキャラクターとのコラボイベントなど、日本をたっぷりと訴求していたとの事でした。
以前、彼女に「日本製は上質な物だとわかっているので、人気がある」と聞いた事があり、そういえば数年前に旅行でタイに訪れた際、スーパーに並ぶ多くの製品のパッケージにカタカナやひらがなの日本語があしらわれ、全く日本と関係のない韓国製の海苔や中国製のお茶などもにも表記されたヘンテコな日本語を見ながら、タイでの“日本”のイメージの良さを感じた事を思い出しました。

こういった “日本製”需要に伴い、日本企業の海外市場参入も多くなり、数年前よりTCDも海外市場で展開されるパッケージ開発をお手伝いする事も増えました。

海外向けデザイン開発の経験が乏しかった数年前の当時を振り返ると、なにかと右往左往していたなぁと思い出されます。
我々は、いつもパッケージデザインを開発する際、ターゲットはどういった生活環境で、どんな風に生活をしているか? 製品をどのように使うだろう? どう使ってもらおう…。どう感じさせよう…等を分析、想定しデザインを作り上げていきます。
そういった中で、言語はもちろん、生活環境や、慣習が異なる国の消費者に対しての知識が低い。開発しているパッケージが並ぶ店頭を見た事がない。など、不足情報をとにかくインターネットや本で調べる。という知識不足からの下準備に時間を費やしました。
また、日本では問題ない色や形が、現地国ではネガティブにとらえられたり、その製品イメージとは違うイメージにとらえられたり、ブランド名を漢字使用国で共通にしようとしたら、一部の国ではセクシャル表現になり、ロゴをつくり直したという事があったりと、カルチャーショックが目白押しでした。
現地から届いたコピーを、簡易に翻訳をかけて改行位置を確認しながら、レイアウトをする。という日本語表記のデザイン開発にはない行程が制作の中に含まれました。

このような海外市場への開発でのエピソードは、どのメーカーにもあるようで、洗剤やトイレタリーなどを販売する大手化学メーカーでも、国内ブランドをグローバル展開しようとした際、ブランドマークの形状がとある国ではお墓を連想させる形状だった為、形状変更をした。や、掃除用洗剤のパッケージを日本のデザインで販売するも売上げが芳しくなく、調査した結果掃除の仕方が日本とは異なっており、パッケージから使用方法が伝わっていなかった…。というエピソードなどを聞いた事があります。

我々がお手伝いしている小林製薬の『アンメルツ』『熱さまシート』『Sawaday』なども、そういった経験や先人の情報を活かし、現在各国の人々に購入されるパッケージになっています。
また、展開ブランドや国も増え、海外旅行で訪れた際も手がけた小林製薬製品のパッケージを店頭で見る事も多くなりました。

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今後はより、各国での携帯電話やスマートフォンの普及に伴い、Eコマースの利用数は更に拡大されると予想されます。
どこにいても世界中の製品をワンクリックで購入できる。1つの国、限定された店頭、ではなく世界中の製品が競合品となるでしょう。
その多くの競合品達から、生活環境や慣習が異なる国々の消費者に選ばれるパッケージデザインの開発。難題ですがパッケージデザイナーのチカラの見せ所。そんな時代はすぐそこまで近づいてきている、そう感じます。

関連リンク:
小林製薬株式会社 http://www.kobayashi.co.jp/
小林製薬(香港)有限公司 http://kobayashi.com.hk/chi/


[筆者プロフィール]
山本 みき 株式会社TCD デザインディレクター
パッケージデザイン一筋20年。
“店頭で強いパッケージ” を念頭におき、デザイン制作に勤しんでいる。
趣味はスーパーマーケット、ドラッグストアなどのストア探訪。
ユニークなデザインや特殊印刷を施したパッケージを探求している。