ブランディング・メソッド・コラム
今すぐ始める「採用ブランディング」STEP②


 STEP①「採用ブランディング」のポイントは? 〜まず、自社の強みを見返す
 STEP②「採用ブランディング」のコンセプトは? 〜ビジョンを一言化する
 STEP③「採用ブランディング」のゴールは? 〜最後に、ストーリーを語り合う




今回のブランディング・メソッド・コラムは「採用に効くブランディング・メソッド」として、採用における企業ブランドの伝え方を考えていきたいと思います。

前回は採用ブランディングに取り組む際のスタート地点として「自社の強みを見返すことから始めてみましょう」といった内容をご説明しました。
今回は、ちょうど2019年度の新卒採用サイトが公開され始めていますので、各社、自社の強みをどう表現しているか、学生に対する切り口やメッセージを採用ブランディングの観点で見ていきたいと思います。





■ 自社の強み、ビジョンやミッションを学生目線で変換する方法

ケース1)事業ミッションをストレートに伝える

まずは、私たちの業界に近しいところから見てみます。


『電通がつくるのは、前例のない未来だ。』電通
 http://www.career.dentsu.jp/recruit/2019/top/

『心を動かすことから、すべてが始まる。』博報堂
 http://h-mp-recruit.jp/2019/

これまで、広告代理店の採用広報はどちらかというとその生業である「広告」的なアプローチ、お家芸でもあるインパクトのあるビジュアル表現が主流でしたが、今年はメッセージ(言葉)が中心になっています。

キャッチフレーズに続くリードコピーを見てみると、いずれも広告事業の課題が赤裸々に語られています。生活者の触れるメディアが多様化、分散化し、これまでのやり方、発想では「広告」は機能しない。だからこそ多彩な発想や能力、人材が必要だ、と訴えています。既に業界と学生とで、そうした課題意識が共有できているのかもしれません。



ケース2)キーワードは「ダイバーシティ」

採用広報において毎年話題に上る企業があります。そうした中から2つご紹介します。


『KEEP YOUR WEIRD』リクルート
 https://www.recruit-jinji.jp

『胃袋を制する者、地球を制す』日清食品
 https://www.nissin.com/jp/recruit/nissinfoods/

リクルート社はその「人」づくりで有名です。リクナビ自体が人材サービスそのものですが、「圧倒的な当事者意識」「起業家精神」といったリクルートの企業文化も、人事モデルとして話題に上がることが少なくありません。一方、日清食品は毎年ユニークな採用サイトや手法を展開していますが、実は企業内大学「グローバルSAMURAIアカデミー」を創設するなど、特に海外展開に向けた人材育成に力を入れています。

19年度、両社に共通しているメッセージは「ダイバーシティ」です。昨今ではあらゆる分野、事業内容問わず持ち上がるキーワードですが、リクルートのメッセージは力強く学生に語りかけています。「WEIRD:空気を読むのは、もう、やめよう。異質は扉だ」と。
日清食品では「DIVERSITY」カテゴリーを設けて、特に女性に向けたメッセージ、取り組みの紹介を行なっています。



ケース3)BtoB企業の主戦場は、よりグローバルに

ご存知の方も多いと思いますが、村田製作所は昔から「採用」に的を絞った企業ブランディングに取り組んでいます。BtoB企業であり、事業内容が一般社会に露出することが少ないからこそ、早くから「採用ブランディング」に取り組む必要があったのかもしれません。結果、常に「働きたい」企業の上位にランクインしています。


『〝部品(ナカ)〟から世界は変えられる』村田製作所
 https://www.murata.com/ja-jp/recruit/freshers/

『「超」付加価値を、世界に。』キーエンス
 https://www.keyence-jobs.jp/

村田製作所のキャッチフレーズは、まさにこれまでの企業ブランディングの蓄積の上にあって、説得力のあるメッセージになっています。キーエンスも常に学生の入社希望が高い企業です。
いずれも「ものづくり」の会社らしい質実剛健なイメージを打ち出していますが、「第4次産業革命の到来」と叫ばれる中、BtoB企業だからこそ主張できる将来感、世界規模で次代を担うといったビジョンが見て取れます。学生の目からもそうした将来性やフィールドの拡がりは非常に魅力的に映るのではないでしょうか。



まとめ

いくつかの事例を見てきましたが、売り手市場といわれる中、若者目線を意識しつつも、企業のビジョンを真摯に伝え、そこへの参加を求める、ある意味常套手段に立ち返った表現が多いように思います。その背景には「働き方改革」が社会課題となる中で、よりコンプライアンスが求められているということかもしれません。

上記に上げた傾向はごく限られたケーススタディの中からのものですが、取り組む際の何かのきっかけになれば幸いです。

  • 事業ミッションをストレートに伝える
  • キーワードは「ダイバーシティ」
  • BtoB企業の主戦場は、よりグローバルに


また、第4次産業革命の流れの中で何を担っていくのか、そうした未来志向のメッセージも多く見られました。直接的にAIやBig Date、IoTといった分野に拘らないまでも、きたる新たな時代にどう向き合うのかといった視点も必要かもしれません。

表現においては、映像でのそれがスタンダードになりました。トップページにて1分程度で企業の強みや入社後のやりがいをダイジェスト的にムービーで伝える手法が多く見られました。

2020年度に向けては、既にインターンシップの募集を掛け、採用計画を進める段階かもしれませんが、採用ブランディングの第2ステップとしては、自社の強みやビジョンを「ワンワード(一言化)」にし、どういった「ストーリー」が展開できるか、上記の採用サイトを眺めながら想像してみると、伝えるべきことや伝え方のアイデアが湧いてくるかもしれません。



筆者プロフィール
川内 祥克 株式会社TCD マネージングディレクター
企業ブランド、事業ブランドやサービス・ブランドの立ち上げ、プロモーション業務に従事。『ブランドのウェブ活用』などのセミナーも開催。