理系目線のグラフィックデザイン③ボロノイ

理系目線でグラフィックデザインを見てきた本コラム。
黄金比、フラクタルに続く最終回は「ボロノイ」について。ボロノイも自然界に潜む、数理性を持ったカタチになります。トンボの羽やキリンの模様、ウミガメの手足やトウモロコシの粒などに見られます。

過去の記事:理系目線のグラフィックデザイン
1回目:理系目線のグラフィックデザイン①
2回目:理系目線のグラフィックデザイン② 自然の中に潜む数学

science_design3_01

作図は簡単。母点aと母点bを結び、その垂直二等分線、つまりaとbから常に等しい距離にある点の集合がボロノイ境界になります。
science_design3_02

母点の数が増えていくと細胞の並びのようになっていきます。
science_design3_03

各点がお隣り同士譲り合い、等しい距離感で縄張りを分け合うと、ボロノイ図になるというわけです。ヨーロッパの国の首都を母点にボロノイ分割をすると、実際の国境に近いことが分かります。偶然できあがっているカタチのように見えて、実はある数理性にかなっているというのは、数学とデザインのおもしろい関係だと思います。

ボロノイをモチーフとしたプロダクトデザインもあり、非常にユニークな表情を見せています。
science_design3_04

私たちデザイナーにとってそれが「長く使えるデザインであるか」ということはひとつの大きなテーマになりますが、自然界にあるカタチは何万年・何億年という年月をかけて作りあげられた、長く使えるデザインの最たるものです。自然を観察しその仕組みを学ぶ(つまりその数理性を学ぶ)ことは、デザインしていく上での大きなヒントとなるのではないかと思います。

最後に、TCDのロゴをボロノイ分割して終わりたいと思います。
illust


参考文献:
高木隆司(2011)「かたち・機能のデザイン辞典」丸善株式会社


[筆者プロフィール]
青木 睦 株式会社TCD デザインディレクター
京都工芸繊維大学 工芸学部 造形工学科卒。
CI・VIデザインの経験をベースに、エディトリアルからパッケージまで、「整数値」なデザイン求めて奔走中。