2015.12.21

理系目線のグラフィックデザイン③ボロノイ

理系目線でグラフィックデザインを見てきた本コラム。
黄金比、フラクタルに続く最終回は「ボロノイ」について。ボロノイも自然界に潜む、数理性を持ったカタチになります。トンボの羽やキリンの模様、ウミガメの手足やトウモロコシの粒などに見られます。

理系目線のグラフィックデザイン

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作図は簡単。母点aと母点bを結び、その垂直二等分線、つまりaとbから常に等しい距離にある点の集合がボロノイ境界になります。
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母点の数が増えていくと細胞の並びのようになっていきます。
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各点がお隣り同士譲り合い、等しい距離感で縄張りを分け合うと、ボロノイ図になるというわけです。ヨーロッパの国の首都を母点にボロノイ分割をすると、実際の国境に近いことが分かります。偶然できあがっているカタチのように見えて、実はある数理性にかなっているというのは、数学とデザインのおもしろい関係だと思います。

ボロノイをモチーフとしたプロダクトデザインもあり、非常にユニークな表情を見せています。
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私たちデザイナーにとってそれが「長く使えるデザインであるか」ということはひとつの大きなテーマになりますが、自然界にあるカタチは何万年・何億年という年月をかけて作りあげられた、長く使えるデザインの最たるものです。自然を観察しその仕組みを学ぶ(つまりその数理性を学ぶ)ことは、デザインしていく上での大きなヒントとなるのではないかと思います。

最後に、TCDのロゴをボロノイ分割して終わりたいと思います。
illust


参考文献:
高木隆司(2011)「かたち・機能のデザイン辞典」丸善株式会社

理系目線のグラフィックデザイン

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