観光都市に向けたお土産物のインストアブランディング

私は大阪在住なのですが、最近大阪、特にミナミ界隈は観光都市化してきたと実感しています。インバウンドターゲットの店が多くなっており、平日夜の心斎橋では買い物を楽しむ外国人が多く見られます。もちろん外国人だけではなく、観光として大阪を訪れる日本の方も多く目にするようになってきました。そんな大阪の地で「大阪土産」のブランディングに携わる機会がありましたので観光需要に関わるインストアブランディングについて、弊社の事例を取り上げてご紹介させていただきます。


Ko.Ko.Mo.よしもとは、大阪のイメージにもなっている「お笑い」を創出する、吉本興行の関連会社で、大阪土産の販売・開発をされています。大阪のお土産を扱う店舗を新世界となんばグランド花月の2店舗で運営。定番の大阪名物を取り扱う中にも、大阪のイメージを更新するべく新しい「大阪土産」を作成したいという想いをお持ちでした。

大阪の新しい「名物」をブランディング

観光の愉しみの一つである「食べあるき」を、新しい大阪スイーツとして広めたいというプロジェクトに参画させていただきました。
素材と味わいにこだわりながら、街中でも気軽に歩きながら食べられる。
そんな今までにない「新甘味」として、伝統的な最中の技術をパイに用いた、和菓子と洋菓子の折衷スイーツを開発。大阪らしさを演出するためのネーミングと形状、ロゴをプランニングいたしました。

3つの異なる味と食感と和洋折衷、賑やかでデシャバリな大阪気質を表現した「でしゃぱり」

ご当地商品をさらに昇華させる「コラボレートショップ」をブランディング

既存の商品を扱うだけではなく、今あるモノにアイデアを加え、さらに進化した新しいお土産を開発したいという願いをブランドとして設立。
コンセプトや商品群のアイデンティティーが伝わりやすいよう工夫をしました。
古くから地域にある伝統を受け継ぐ「ほんまもん」と、新しい技術や発想の「あたらしもん」を合わせたコラボレーションブランド。そのコンセプトストーリーからロゴ、ブランドトーンまでをご提案させていただいています。


「古今知」(ここんち):古き良きものと、新しい今を知るという意味。また「ここん家」=特別な場所、という意味も含まれる。その地域に昔からある「ほんもの」「うまいもの」と、「あたらしいもの」を掛け合わせた、ここだけでしか出会えない新たなお土産をプロデュース。地域の新たな魅力を発信し、地域といっしょになって元気にするというミッションも。シンボルは、多様なものを見通し人が集まる建物である櫓(やぐら)をモチーフにデザイン。

「モノ」から「キモチ」を動かすストアブランディングへ

2017年12月21日にリニューアルオープンされた「なんばグランド花月」。
大阪観光のアミューズメントの要であるこの場所では、空間グラフィックを担当させていただいています。
吉本新喜劇の劇場前にある「よしもとおみやげもん横丁」。壁面の一部に大阪イメージのコラージュを配置。ショップスタッフと大阪イメージが切り替わるオモテナシムービーを店内に投影し、観劇前後の高揚感をさらに盛り上げるショップ演出とさせていただきました。

ストアブランディングといえば、パッケージデザインや包括する屋号のブランディングに関わらせていただくことが多いのですが、お土産のストアブランディングに関しては、モノになる手前の考え方や商品自体の設計、売り場の活かし方等、人の初動要素になる「キモチ」を動かすには何を投じたら良いかを検討させていただく機会が多くなったように思います。
お土産という商品自体が渡す相手に「ありがとう」や「楽しかった」を伝えるツールになるという特性を併せ持つので、特に「キモチ」に響くアイデアがキモになるのではと感じています。


[著者プロフィール]
荒木 可奈子 パッケージ&プロダクトデザインセクション デザインディレクター
神戸芸術工科大学 芸術工学部プロダクトデザイン学科卒
メーカーでの製品開発・企画を経て、TCDに参加。
商品にまつわるデザイン全般に従事する。辛味好きの甘党。