パン屋に見るネーミングの変化

私たちTCDの本社がある阪神間は、パン屋や洋菓子店の激戦区としても知られていて、老舗から新店まで、またチェーン店から個人経営の店まで、多くの店があります。
今回は、そんなパン屋や洋菓子店のネーミングを見てみたいと思います。

時代とともに変化していく店名

もともとは明治時代の初期に、創業者の名前や「○○堂」「○○屋」といった店名からはじまり、高度経済成長期を経て、フランスなどで修行した店主が増えるにつれ「ブーランジェリー ○○」「パティスリー ドゥ ○○」といった、フランス語の長く難しい店名が多く見られるようになりました。しかし、近年オープンの店では減っている印象です。

商標登録をされる店名はごく一部ではありますが、商標の出願・登録情報が調べられる特許庁のJ-platPatをもとに、傾向を見てみました。
(※J-platPat :https://www.j-platpat.inpit.go.jp/t0100

洋菓子店を意味するフランス語「パティスリー」を含む菓子、パンの店名は、2016年の13件をピークに、2017年は6件、2018年は9件と減少しています。
パン屋を意味する「ブーランジェリー」は、2013年から2018年まで毎年2〜5件で、大きな変化はありません。

わかりやすく覚えやすい店名が増加

一方、「ベーカリー」は2013年には1件だったのが、2017年には13件、2018 年には10件と増加しています。
ここ数年の間に、インターネットで飲食店を検索する人が大幅に増えた影響は否めないでしょう。覚えにくく、入力しにくい店名が避けられるようになり、「ベーカリー」「ブレッド」をはじめとするわかりやすい英語や、覚えやすく親しみやすい日本語の店名が目立つようになりました。

強いインパクトで話題を集める専門店も

最近注目の食パン専門店でも、単品勝負のストレートさを表わすかのように、店主の名字や地名をはじめとする日本語の店名が多く見られます。また、他店との差別化を図るためにインパクトのある店名が目立つようになり、中でも「考えた人すごいわ」「うん間違いないっ!」などの話し言葉を冠した強烈なネーミングは、SNS上でも話題を集め “バズる”ことに成功しています。

TCDでも、洋菓子店をはじめとする食料品店や飲食店のネーミング、ブランディングのご相談をいただくことがあります。店主の方は長年温めてきた強い思いをお持ちですので、その思いを大切にしつつ、さまざまな要素を加味しながら共に形にしていくことに、私たちも大きな喜びを感じています。


[筆者プロフィール]
由良綾子 株式会社TCD コピーディレクター
紙媒体からWebやムービーのライティング、ネーミング、コンセプト立案まで、TCDのコピーライティングを幅広く担当。趣味は国内外を問わず、旅行と街歩き、食べ歩き。