2012.05.21

ブランドの持つ「アートな香り」ブランドアート

山田 崇雄 株式会社TCD 代表取締役会長

TCD’s Philosophy from the Chairman’s Study

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久々に美しい広告に出会って心がほぐれた。半年も前のことになるが、昨年のクリスマスシーズンに見かけた新聞広告について少し話してみようと思う。
広告主はエルメスである。ネクタイとスカーフをモチーフに、樅の樹を描いた15段2面の広告紙面は、ページをめくると同時に目に飛び込んで来た。
その洗練されたアートは、楽しく、解りやすく、クリスマス商戦と自社の商品を見事に結びつけていた。いずれもほのぼのとしたメルヘンの世界を彷彿とさせるもので、思わず心を奪われてしまった。
これは正にブランドが持つアートな世界観の為せる技であり、エルメスと言うブランド企業に備わる芸術的風土(ブランドアート)の効果ではないだろうか。ブランド価値を計る時に語られる「情緒的価値」は、ブランドが醸し出すアートな香りそのものであり、「品質的価値」「希少的価値」を大きく上回るものであるに違いない。
企業のアートに対する理解と価値認識の高まりが、ブランドアートの醸成と共に、ブランドパワーを発揮させる有効な方法だと言っても過言ではないだろう。

[筆者プロフィール]

山田 崇雄

株式会社TCD 代表取締役会長

1938年大阪に生まれる。1961年~1971年早川良雄デザイン事務所にてチーフデザイナーを務める。1971年独立。1977年株式会社TCD設立。大阪府アートディレクター、大阪デザイン団体連合会長などの公職を歴任。現在、日本広告制作協会関西代表、大阪広告協会理事、佐治敬三賞審査委員長、広告電通賞選考委員などを通じ、関西のクリエイティブ界を牽引している。

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