ブランディング考

2020.06.15

今さら聞けない!マーケティングの基礎知識
マーケティングで重要なのは「4P」よりも「STP」

生山 久展 取締役 クリエイティブディレクター

マーケティングの専門用語で最も広く知られているのが「4P」

私がマーケティングの世界に入った30数年前、最初の教科書として手にしたのがフィリップ・コトラーの「マーケティング原理」。800ページを超える分厚い本で6,800円。新入社員の薄給で自腹購入したこの本のことはよく覚えています。

当時はマーケティングと言えば「4P」という時代。「4P」とはマーケティングの主な活動要素であるProduct(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(広告販促)の4つの頭文字をとったものです。新商品の新規参入にも、既存商品立て直しの際にも「4P」を用いた戦略提案を行うことが基本でした。多くの市場がまだ成長していて、作れば売れた「製品主導のマーケティング」時代には有効で、ビジネス現場で重用された戦略フレームです。

この「4P」は、マーケティングの専門用語でありながら、企業のマーケティング担当はもとより一般のビジネスマンにまで広く知られた唯一の言葉になりました。簡潔で分かりやすいということもありますが、ここまで浸透した理由は、当時のマーケティングのスター教授がこのフィリップ・コトラーだったことが大きいですね。友人のマッカシーが1960年に提唱した「4P」をここまで広めたのは彼の功績だと言えます。

「4P」だけが独り歩き、本質的な部分を誤解している人も多い

実は「4P」はマーケティング戦略の一要素にすぎず、本来これだけで完結できるものではありません。しかし、実際のビジネス現場では「4P」だけが切り離されて、誤って単独で用いられていることもよく見受けられます。

前述したフィリップ・コトラーの「マーケティング原理」には、以下のようなマーケティング・プロセスの構築ステップが示されています。「4P」を考える前に、マーケティング機会の分析と、そこからターゲット市場を絞り込むという上流2工程を必ず通ることを求めています。

「STP」成功の極意は「S=セグメンテーション」にあり

マーケティング戦略策定ステップの「STEP2標的市場の選択」をどう行うのかの手順を示したのが「STP」です。簡単に言えば、「誰にどんな価値を提供するか」というマーケティングの目的を決めることであり、「4P」はそれらを実現する手段という関係になります。どちらの戦略重要性が高いかは明らかで、「STP」はマーケティングの成否を決定づける重要タスクになります。

そして「STP」の精度を決定するのは「S=セグメンテーション」の巧拙によるところが大きいです。セグメンテーションとは、対象市場の顧客がどのようなセグメントに分かれているのか、また何の違いによってセグメントが分かれているのかを明確にすることです。この入口を間違えてしまうと、「STP」全体の精度が上がりません。対象市場を最適に説明できる「変数」を見極められていることが、よりよいセグメンテーションの条件になります。

セグメンテーションには以下の4つの分類軸があります。このうち最もよく使われているのは「デモグラフィック属性」。性年代で顧客を分類し、ここから20-30代女性とか60代以上のシニア層を狙うというターゲット設定につなげていきます。ただし、すべての20-30代女性が同じ価値観や消費行動を示すわけではないので、いくつかの分類軸を組合わせてセグメンテーションを行います。「ジオグラフィック」や「デモグラフィック」で粗く分類し、「サイコグラフィック」や「ビヘイビアル」でさらに細かく分類していく手法が一般的と言えるでしょう。

「今さら聞けない!マーケティング基礎知識」の第1回、いかがでしたか。
意外と誤解されていることの多いマーケティング用語について、今後もシリーズで解説していきますのでご期待ください。第2回は「競争戦略」を予定しています。

[筆者プロフィール]

生山久展
取締役 クリエイティブディレクター

戦略開発、調査・分析、商品開発、販促展開まで幅広いブランディング業務に従事。30年余の実務経験をベースに、的確な現状分析から本質的な課題解決のプランニングを得意とする。


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