2019.10.18

サンフランシスコで改めてTCDの「パーパス」を考える
〜43期キックオフにあたり〜

山崎 晴司 株式会社TCD 代表取締役社長 クリエイティブディレクター

私が今この原稿の最終仕上げをしているのは、サンフランシスコの北東部のベイエリアにあるホテルの1室。仕事の関係で毎年数回は海外を訪れることがあり、今回は当ブログアップの時期がたまたま重なったためですが、久しぶりに訪れたサンフランシスコは日本に比べて幾分か涼しく天気も快適で、そしてやはり活気を感じます。

サンフランシスコはアメリカ西海岸の小さい都市でありながら、シリコンバレーやIT関連企業が多く集まる、世界で最も進んでいる都市のひとつ。1週間ほどの滞在予定ですが、我々のような会社にとっては数多くのヒントが得られる良いシチュエーションです。私は海外を訪れると必ず、現地の人々が利用するショッピングモールやスーパーマーケットなどに足を運びます。トレンドや文化の違いを肌で感じ、また日用品や化粧品のパッケージデザインから街の看板やテレビCMなど、外国の様々なデザインに直に触れる機会は、デザイナーである私にとって大変刺激的で貴重なものです。

近年、社会環境はITやAIの発展で大きく変貌を続けています。それに伴いクリエイティブやデザインの持つ社会的役割は、より専門的になってきている一方で、貢献領域はどんどん拡大していると感じています。私たちTCDはこの先10年20年と、どのように、そして何のために社会に存在すべきなのか、少し時間をかけて社員と共に答えを見つけていきたいと、サンフランシスコへ来て改めて思いを巡らせています。

弊社は先月の9月1日から43回目の新年度をスタートさせました。現在約1ヶ月程が経過したところで、新たに掲げた今期目標に向かって全社で動き出しています。前期を少し振り返ると、Webサイトやお電話などで年間100を超えるお問い合わせがあり、また、4月に東京ビッグサイトで開催された「広告デザイン・ブランディングEXPO」に出展した際には、3日間の期間中で計200件以上の商談やブランディング相談を行い、その後のお問い合わせも30件以上と、新しい貴重な出会いの機会をたくさんいただきました。そして集まった多くのご期待に対して、情報発信の重要性と高難度化する課題に貢献できるスキルやマインドの必要性を強く感じた一年でした。

「広告デザイン・ブランディングEXPO」TCDブースの様子(2019年4月3日~5日)

一方で、前述のように私たち自身がブランドとしての存在意義をより強く意識していくために、まずは直接社会に貢献出来ることを社員それぞれが考えてみようという、新たな社内活動を前期から始めました。自分が楽しんで進められる領域であることと、「人を幸せにする」「社会を明るくする」ビジネスアイデアであることが応募の基本条件です。良いアイデアには賞が与えられ、起案者は実現に向けて会社のバックアップを受けながら進めていきます。ただ、初めての試みであるためにどれだけの応募があるかとやや不安に思っていましたが、締め切り日には社員数を大きく超える、73個の「夢の種」が集まる結果となりました。そして最終選考に残った10のアイデアはそれぞれの内容に磨きがかけられ、毎年8月の年度末に行なっている次期方針発表会のプログラム後半に組み込まれた「NEW BUSINESS DESIGN PRIZE2019・ファイナリストプレゼンテーション」で発表されました。

「NEW BUSINESS DESIGN PRIZE2019・ファイナリストプレゼンテーション」発表の様子(2019年8月30日)

ファイナリストの発表内容は、TCDがこれまで経験していないクリエイティブジャンルやビジネススタイルのプランから社会問題に目を向けたアイデア、今後注目を集めるであろう産業やムーブメントに着目したもの、そして私たちの活動を世界に向けて拡大していくような壮大なものなど多岐に渡るものでした。若手からベテランまでが入り混じり、起案者たちのそれぞれに生き生きと個性的なプレゼンテーションを目の当たりにし、全社員が集まった会場は活気に満ちていました。当然ながら役員審査ではさまざまな角度の意見が飛び交い困難を極めましたが、プログラムの最後、優秀賞の発表が行われると盛り上がりはピークとなり、興奮が冷めないままその日の予定は終了。数日間その日の余韻が消えることはありませんでした。

社員一人ひとりがこういったことを考えるのは、会社の未来を自分事として考えるのと同じ意味であり、生まれた夢の種は自身とともに仲間を勇気づけるものになります。そして最終的に会社の財産になるのだと確信しました。どんなアイデアが賞に選ばれたのかご興味のある方は、ぜひ弊社スタッフに尋ねてみてください。

サンフランシスコは先端技術の一方で、オーガニックやエコなど持続可能な社会活動に対して「意識の高い」街でもあります。サンフランシスコ在住の専門家に話を聞くと、やはり企業やブランドには、消費者が意義と共感を感じる「パーパス=存在意義」が必要不可欠ということ。特に40代以下の若い世代に支持され成長している会社の多くは、そのパーパスをきちんと定義しブランディングを行っている。従来のナショナルブランドではなくスタートアップ企業がそれを実践し、支持を受けている例が多数出てきています。

弊社が提供するブランディングサービスも、この「存在意義の定義」を今日的ブランド戦略に最も重要な要素と位置付け、今後さらにバージョンアップしていきたいと思います。


最後に、今回訪れたところを少しご紹介します。

大手ストアから小さなお店まで色々と視察。スタートアップ系商品ブランドの台頭が目立つ。
Target Open house
通常の総合用品ストアに隣接してできた、ターゲット発IoTプロダクトの体験型ショールーム
https://targetopenhouse.com/
amazon go
ホテルから数百mの所にある話題のレジレスコンビニを体験。アプリのQRコードをかざして入店。
Ferry Building Marketplace
朝はフェリーでサンフランシスコに通勤する人たちが続々降り立ち、コーヒーを飲んで仕事へ。

[筆者プロフィール]

山崎 晴司

株式会社TCD 代表取締役社長 クリエイティブディレクター

日用品や医薬品、化粧品、食品などの様々なパッケージデザイン開発を中心に、グラフィックデザイン、プロダクトデザイン等、マーケティング思考を前提にしたクリエイティブワークに幅広く携わる。また百貨店等における新ブランドの立ち上げに際しての戦略立案や商品パッケージから店頭ツール類、店舗までトータルデザインプロデュースも行う。

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