私的ギャラリーの開設

TCD’s Philosophy from the Chairman’s Study

justnow

私の作品を常設展示する目的で「タカオヤマダ・ジャスナギャラリー」が開設された。ここは私が生来の仕事として取組んで来たグラフィックデザインを一切の目的から解き放し、自由を条件に表現の世界を放浪しようと試みる場である。
1970〜1980年代、グラフィックデザインやイラストレーションの興隆期と言われるこの時期、グラフィックデザイナーやイラストレーターの作品展が頻繁に開催され、多くの同朋に快い刺激を発散させていた。それらは一様に思考的であり実験的な様相ですらあった。 今日では時代も変わり、そんなことがあったのかと思うほどグラフィックデザイナーやイラストレーターの作品発表の場に出会えなくなった。それは、単に時代背景に留まらず、現代の彼らがグラフィックデザインやイラストレーションの根底にあるアートの介在を見失い自らの主張を試みる衝動をも忘れてしまったのでは無いかと心配している。
そしてそれが、冷静且つ旺盛な職業意識を持つ彼らのビヘイビアの影響だとすれば、余裕と味わいのある表現者の芽を摘んでしまうことに成りはしないかと更に恐れを感じる。
このギャラリーが、これからの彼らの試みと共存し、時代に新たな刺激と流れを届けられれば幸いだ。
当ギャラリーの開設にご尽力いただいた畏友谷川逸人氏と共に切に願うものである。


山田崇雄 株式会社TCD 代表取締役会長、クリエイティブ・ディレクター
[筆者プロフィール]
山田崇雄 株式会社TCD 代表取締役会長、クリエイティブ・ディレクター
1938年大阪に生まれる。1961年~1971年早川良雄デザイン事務所にてチーフデザイナーを務める。1971年独立。1977年株式会社TCD設立。
大阪府アートディレクター、大阪デザイン団体連合会長などの公職を歴任。現在、日本広告制作協会関西代表、大阪広告協会理事、佐治敬三賞審査委員長、広告電通賞選考委員などを通じ、関西のクリエイティブ界を牽引している。