No.1ブランドのパッケージリニューアル 〜桐灰カイロ〜

こちらの連載では、パッケージデザインにおけるTCDの取り組みをご紹介します。
第1回は「売れるパッケージデザイン」、第2回は「売れ続けるパッケージデザイン」をテーマに、それぞれ考察してきました。
今回は、第2回の続編として、実際TCDでお手伝いさせていただいたリニューアル案件についてご紹介したいと思います。

本格的な暑さが始まってしまったこの時期に失礼致します。桐灰化学の基幹商品「桐灰カイロ はる(貼るタイプ)」「桐灰カイロ ニューハンドウォーマー(貼らないタイプ)」のパッケージリニューアルについてです。

桐灰化学は、日本での使い捨てカイロ売上No.1および、シェアNo.1のトップメーカーです。昨年2016年には創業100年を突破しました。
カイロ事業は、東日本ではほとんど展開していないため、そちらにお住まいの方はピンとこないかもしれませんが、西日本では、「カイロといえば桐灰」というほど浸透し、長年愛されているブランドなのです。
3年前に、次の100年のためのブランド戦略策定の一環として、基幹商品である桐灰カイロのパッケージリニューアルも検討されることとなりました。

ブランドの価値は何か?
ブランド・アイデンティティは何か?
時代に合ったデザインか?

前回のコラムで、売れ続けるパッケージデザインにするには、ブランド・アイデンティティと、時代に合わせたメンテナンスが重要だと述べました。そして、それはメーカーやデザイナーの主観ではなく、ユーザーの意見を取り入れたものでないといけないとも述べたと思います。
桐灰カイロのパッケージリニューアルでも、デザイン検討と並行しまして、WEB調査やグループインタビュー、CLT実購買調査(※)を実施し、デザイン検討に必要な「ブランドの価値」「その商品を探す時の目印」「現行デザインの評価」等の情報を抽出しました。
※実店舗と同様の模擬棚を設置した会場で、調査対象者の購買行動を観察・分析する調査

調査の分析結果を受けて、下記の4項目をデザインリニューアルの柱としました。


1. 桐灰カイロブランドの強化
2. 「伝統」「親しみ」「品質・信頼」の具現化
3. キャラクター「きりのすけ」のモダナイズ
4. 金ベース、基本レイアウトの踏襲


確かに前より良くなったけど、どこが変わったんだろう?

リニューアル後のデザインについて、ユーザーの反応として最も多かったのは「何となく良くなった気がする」というものでした。中には変わったことに気づかず、個別に説明してようやく「良くなった」とおっしゃっていただけるロイヤルユーザーもおられました。
それは、ユーザーの中のブランドイメージを壊すことなく、ブランドの純度を高め、時代に合わせてリファインするという目標を達成できた証だと思っています。

もちろん、課題があり、解決するため思い切ったリニューアルが必要になる場合もあります。ただその場合も、新規顧客獲得に躍起になり、積み上げてきたブランドの価値は無視してしまったのなら、その時々を生き抜くためだけの“根なしブランド”になりかねないのです。


[筆者プロフィール]
鎌尾 典明 株式会社TCD デザインディレクター
エディトリアルや広告を経て、ここ10年はパッケージを中心に、店頭ツールや売り場づくりまで、“売れる”を目標にどっぷり従事。