2012.12.05
TCD ブランディングセミナー レポート「ネーミングと商標」
2012年11月29日(木) に、TCD ブランディングセミナー「ネーミングと商標(講師:有古特許事務所 山本岳美/株式会社TCD 西川将史)」を開催いたしました。多数のご来場をいただき、どうもありがとうございました。会場が混みあい、一部お聞きづらいところもあったかと思います。誠に申し訳ございません。
また、ネーミングと商標という大きな二つのテーマを90分間で取り上げたため、急ぎ足での講義内容となりましたが、出席者の方々とコミュニケーションをしつつ、アットホームな講義となった当日の内容を簡単ですがご紹介いたします。
■プロローグ:自社のブランドに相応しいネーミングとは?
ネーミングはブランドの世界観を表現する大事な要素。
だから自分の会社らしい基準を持つ。自分のブランドらしい基準を持つことが大事。
まずはご挨拶を兼ねてTCD西川より、実際にお客様からいただいた「どのようにネーミングをきめたらいいのかがわからない」というメールを素材に、「そのブランドらしい」ネーミングに関する考え方をご紹介しました。クライアントやそのブランドが持つ課題、時代や要求されるテーマによって基準というのは変化していきますが、そのネーミングがブランドの世界観を表現できているのか?というシンプルで奥深いテーマを取り上げてご紹介いたしました。
■テーマ1:ブランドネームの開発ステップ
TCDのネーミング開発事例を交えてフローをご紹介いたしました。
1:まずはそのブランドの価値が一体どういうものかを可視化する。
2:次にどのような競争戦略でそのネーミングを市場に投入していくのかを仮説的に構築する。
3:そしてこのブランドにはどのようなキーワードや世界観が相応しいのかを言語化。
4:デザイナーやコピーライター、プランナーなどの多様な観点からネーミングアイデアを出していきます。
5:こうして出てきたアイデアを、「意味性」「記憶可能性」「移転可能性」「適合可能性」「防御可能性」といった評価基準にて、一定以上の質を持ったものをスクリーニングし、クライアントへの提案を実施していきます。
■テーマ2:長期的なブランド戦略と商標戦略
テーマ1でご紹介した一連のフローの中で「防御可能性」というのが今回のもう一つのテーマ、「商標」と大きな関わりを持ってきます。この「商標」について、有古特許事務所の山本弁理士が笑いを交えながらご説明いたしました。
- ブランド構築は長期戦。法的保護は必須。
- 成長するブランドとそれをサポートする商標。
- 産業財産権法(特・実・意・商)のカバー範囲
- 商標権の効力
- 商標権の発生の流れ
- 権利維持において留意すべき点
- 特許庁が行う審査の主な内容
- 「識別力」という考え方
- 商標の類否の範囲
- 登録商標と使用商標
- ブランド開発において留意すべきこと
と、多岐にわたる商標のテーマをクイズも交えながらご説明いたました。
■テーマ3:新しいタイプの商標
テーマ2を通して皆さんにご理解いただいた商標のお話で、最近新聞紙上などでもホットな話題になっている新しいタイプの商標について、海外の先行事例も交えながら日本の制度導入に関する現状をお話いただきました。
■テーマ4:改めてブランディングを考える
テーマ4ではこれまでお話してきた二人の講師がコラボレーションを行い、日頃プランナーと弁理士がどのような会話をやり取りしているのかを体験していただきました。
キャラクタービジネスを一つの事例に取り上げ、そこに関わるブランディングの観点、コミュニケーションの観点、商標の観点、意匠権との違いなどをご紹介いたしました。
二人の講師による盛り沢山な内容となり、お聞き苦しい点もあったかと思いますが、「ネーミングとブランディングとの違いがよくわかった」といった声や、「難しい商標の話も楽しく聞けた」などのお声をいただきました。ご参加いただいた皆様に何か一つでも気づきをお持ち帰りいただけていれば幸いです。
次回は来春に関西でもセミナーを予定しております。こちらもどうぞよろしくお願いいたします。