2025.06.26

デザインの流れ: 2025年韓国デザイントレンド分析

キム ギュリ 株式会社TCD デザイナー

2025年現在に至るまで、韓国のデザイントレンドはどのように変化してきたのでしょうか。

単なる視覚的表現を超えて、感性、アイデンティティ、持続可能性、そして体験中心の流れで急速に変化している韓国のデザイン市場。 時代の社会的、文化的変化を反映した韓国デザインの主な流れと特徴を分析し、変化の様子について韓国出身グラフィックデザイナーの視点からお話ししたいと思います。


①空間と感性をつなぐ_体験型デザイン

比較的最近の、空間デザインにおけるブランディングの大成功事例として言及されている「ザ・ヒョンデ(The Hyundai)」は、韓国のソウルに位置する現代的な複合文化空間です。ザ・ヒョンデソウルは、ミニマルなデザインと高級感、そして自然にやさしい空間デザインを中心に、従来の伝統的な「百貨店」のイメージから果敢に脱皮した革新的なショッピング空間として作り直されました。 ターゲットの年齢を下げ、単なる「販売中心」から「体験中心」へと転換し、ライフスタイルプラットフォームの新しい方向性を提示する代表的な空間だと言えます。

ザ・ヒョンデは、MZ世代(ミレニアル&Z世代)をターゲットに「サウンズフォレスト」という大型庭園空間を造成し、視覚だけでなく聴覚と嗅覚まで刺激する新しい経験を提供する事例として注目されています。 また、ポップアップストアを導入して若年層の流入を拡大し、滞在時間を増やして売上上昇につながった成功事例と評価されています。 さらに現代アートウォールなど文化空間を共に運営して単なるショッピング空間を越えて、文化とライフスタイルを提案する革新的なブランド体験を実現しました。今までの空間デザインや顧客体験デザインの中でも、最も注目されているリブランディングデザイン事例だと言われています。

出典: ザ・ヒョンデソウル公式サイト


②パッケージからオブジェへ

韓国のデザイントレンドは空間だけでなく、パッケージからも垣間見ることができます。 その代表的な例として「タンバリンズ(Tamburins)」という化粧品ブランドを紹介したいと思います。 現在青山、 新宿、大阪と、日本でも盛んに展開されているタンバリンズは、韓国の化粧品ブランドの中でもデザイン中心のブランディングで強い印象を残しています。特にビューティー製品を超えた芸術的な感覚と、実験的なデザインの融合で注目されています。

タンバリンズの製品は一つ一つ固有のデザインコンセプトを適用し、単なる容器を超えて、所蔵できるオブジェとして製作されているのが特徴です。 主に落ち着いた暖かい色合い、自然からインスピレーションを得たトーン&マナー、そして韓紙の質感などから影響を受け、感覚的でありながら韓国的な情緒を現代的に再解釈しています。

それは感覚的なデザインを超えて消費者の感性を刺激し、芸術とブランドを統合する方向に進んでいることをよく示しています。シンプルですが単純ではない節制美と現代的な洗練美が調和したデザインと、消費者にミニマルな感性を訴え、コレクションすることで一つのコンテンツ化を図るアプローチから、韓国のパッケージトレンドを読むことができました。

その他にも、様々なK-ビューティーパッケージデザインでは、オブジェ化されたパッケージと感性的なストーリーテリングを中心として「所蔵したいパッケージ」を目標に、トレンドに合わせて発展していることが分かります。

出典: Tamburins公式アカウント
tamburins


まとめ

「ザ・ヒョンデ」の空間ブランディングと「タンバリンズ」のパッケージデザインは、韓国のデザイントレンドが単なる視覚的な美から脱し、ブランド体験全体を網羅する感覚的で統合されたデザインに進化していることを示しています。

空間を通じてブランドストーリーを伝えたり、消費者と感性的に交感することを通じて、韓国のデザインは現在、機能的な目的を越えて使用者と深くつながるデザイン、そして文化的価値を盛り込むデザインに拡張していることを感じました。

今後もこのような繊細さと革新のバランスを取ったデザイン事例がさらに登場し、韓国のデザインが世界市場で独自の位置を確固たるものにすることを期待しています。


[筆者プロフィール]

キム ギュリ

株式会社TCD デザイナー

2023年にTCDに入社し、3年目のデザイナー。韓国出身。 グラフィックデザインが好きで、特にブランディングを通じて人々とコミュニケーションを取ることを目指しています。

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