2025.04.18
ライフスタイルに寄り添う色とパッケージデザイン
大野 晴 株式会社TCD デザイナー

日々の暮らしの中で、ランチボックスは“自分らしさ”を表現するひとつの道具にもなり得る存在です。
今回、私たちはアスベル株式会社の女性、男性それぞれに寄り添ったランチボックス「LUNTUS」のパッケージデザインをお手伝いしました。プロダクト本体の色彩からパッケージデザインまで、幅広い工程に携わることができたプロジェクトについてご紹介します。
色彩から感じる「自分らしさ」
レディース向けランチボックスでは、プロダクト本体の樹脂色もTCDから提案しました。
“日常に寄り添いながら、ほんの少し気分を上げてくれる”——そんな存在を目指して、彩度や明度、トーンの異なる複数のパターンを検討。シンプルながらも温かみのあるニュアンスカラーを中心に、飽きがこない、けれど少しときめく色を選定し、ご検討いただきました。
最終的に採用となったのは、清潔感のある白と、くすみ感のある落ち着いたトーンの組み合わせ。世代やライフスタイルを問わず、多くの方にとって“自分らしく使える”カラーになったと感じています。

シンプルな中に、確かな存在感を
プロダクトの印象を左右するもうひとつの大きな要素が、パッケージです。
今回のデザインでは、プロダクト自体の洗練された印象を損なわないよう、あえてシンプルで余白を活かしたグラフィックを設計しました。白を基調にしたクリーンなレイアウトで、商品の持つ佇まいの美しさが際立つように意識しています。
また、今回の商品の大きな特徴のひとつが「パッキン一体型」構造。
洗いやすく、パーツの分解が不要で、衛生的に使えるという日常使いにうれしい機能を、ひと目でわかりやすく伝える必要がありました。
そこで、パッケージに貼付するPOPシールには、メタリック素材を採用。ランチボックスのパッケージではあまり使われない素材を選ぶことで、訴求内容が店頭でしっかりと目に留まるようにしました。光を受けてさりげなく輝くその存在感は、ただ目立たせるための装飾ではなく、ブランド全体の上質感や、機能性への信頼感にもつながるようにデザインしています。
“見た目の美しさ”と“毎日使いたくなる理由”のどちらも伝えること。この重要な二つの課題を叶えるパッケージデザインに仕上げることができました。

ある春の日の思い出
制作を終えたある日、社内の同期が、私がデザインしたランチボックスに手作りのお弁当を詰めてくれました。
桜が満開の公園で一緒にお花見をしながら、「LUNTUSの文字がお弁当を詰めると浮き出て見えるのがいいね」「半透明な蓋が食べ物の生活感をぼかしてくれる」と話してくれました。
実際に使ってもらい、一緒に過ごしたあの時間は、私にとって忘れられない思い出です。デザインが誰かの生活に寄り添い、ちょっとした幸せにつながる。そんな瞬間に立ち会えたことが、何より嬉しく感じました。

[筆者プロフィール]
大野 晴
株式会社TCD デザイナー
生活用品を中心に、食品のパッケージデザインなどを担当。「毎日の暮らしにちょっとしたときめきを添えられるデザイン」を目指して日々奮闘中。漫画やアニメが好きで、食べることも大好き。筋金入りの甘党です。