2025.05.23
ミニコラム#6) TCD社員の関心シリーズ②インフォグラフィック
ショウ 英美 株式会社TCD デザイナー

インフォグラフィックとは
私たちは日々、膨大な情報に囲まれながら生活しています。広告、資料、ニュース、SNSのタイムラインなど、多くの情報に触れていますが、それらが全て「伝わっている」とは限りません。目に留まらずに見落とされてしまうニュースや、わかりにくくて理解してもらえない資料など、受け流されてしまっている情報も少なくないのではないでしょうか。
情報を情報として伝えるだけでは受け取ってもらえない。そこで登場するのが、デザインの要素です。何を伝えることが目的の情報なのか、ターゲットは誰か、発信源はどこか。それらに沿って情報をデザインすることでターゲットを惹きつけることができると同時に、より整理された内容を提供することが可能になります。
これが、情報(Information)をグラフィック(Graphic)の力で伝える「インフォグラフィック(Infographic)」です。
美しく、わかりやすく
インフォグラフィックの魅力は複雑な情報を短時間で、かつ正確に伝えられることです。言葉では理解に時間がかかる統計データや概念的なプロセスも、図や色で可視化することにより直感的な理解が可能になります。視覚情報は言語情報よりも遥かに受け取れる情報が多いため、デザインによる視覚化は情報を伝える上で有効です。
また、インフォグラフィックは記憶に残りやすいという特性もあります。人間の脳は文字よりもビジュアルを長く記憶する性質を持っており、情報と画像が結びついていると印象が強化されるのです。
情報を表すデザイン要素
インフォグラフィックにおいて伝えたい情報と関係のない装飾はわかりにくさの元となるため、シンプルなスタイルが好まれます。よって、デザイン要素の一つ一つが重要になってきます。たとえば、使用する色は書かれた情報の感情的な印象をコントロールする機能があります。信頼を与えたいなら青、注意を促したいなら赤、安心感を伝えたいなら緑など、配色には目的との整合性が欠かせません。
フォントも同様です。可読性はもちろん、トーン&マナーを整える役割があります。柔らかい印象を与える書体か、力強くメッセージを届ける書体か。選び方ひとつで伝え方は大きく変わります。
また、アイコンや図形の扱いにも注意が必要です。簡略化した図の場合は、受け取り手の知識量や文化的背景によって伝わり方が変わることがあるため、誰に向けたデザインかを意識して制作する必要があります。
伝えたい情報を邪魔しないグラフィックの選定がとても重要です。
インフォグラフィック制作の落とし穴
インフォグラフィックは、視覚的に「わかりやすい」がゆえに誤った情報や伝わり方のブレが生まれやすいのも事実です。インフォグラフィック制作には、ありがちな落とし穴もあります。
- ・情報量が多すぎて読みにくい
- ・図表が複雑で誤読されやすい
- ・ビジュアルは美しいのに、内容が頭に入ってこない
→「削る勇気」も重要です。優先順位を明確にするなど、伝えたい情報を整理する必要があります。
→シンプルで直感的な構成を意識。コンセプトを表現するのは必要な要素内で行い、不要な装飾は避けた方が良いです。
→「何を伝えたいのか」が明確になっているかを確認する必要があります。
まとめ
インフォグラフィックは、進化する情報社会の中で、情報と人とをつなぐ架け橋だと思います。言葉だけでは伝えにくいことを、デザインの力で、相手に届くかたちへと生まれ変わらせる。そうすることで「伝えるデザイン」の可能性も、もっと増えていくのではないでしょうか。
[筆者プロフィール]
ショウ 英美
株式会社TCD デザイナー
2024年にTCDに入社し、新卒2年目。グラフィック中心に、ロゴ、WEB、パッケージなどを制作。イラストや漫画など、絵を描くことが好き。