2025.04.18
TCDミニコラム #5) TCDインナーブランディング バリュー研修
宮﨑 ひかる 株式会社TCD デザイナー
TCDの魅力を社員目線で発信します!
こちらはプランナーやデザイナーがライティングに挑戦するミニコラム企画。社員の個人目線から、TCDのイベントや魅力をカジュアルにお届けします。「TCDってどんな会社?」「どんな人がいるのだろう?」と思っている方は、ぜひご覧ください。
今回はTCDのインナーブランディングの一環として行われている取り組み「バリュー研修」から、外部講師による講演回をレポートします。
バリュー研修は年に4回設けられており、様々な分野の外部講師のお話やワークショップを通して、TCDの枠を超えて視野を広げることができる貴重な機会です。今回は、江崎グリコ株式会社 デザイン部 部長の佐藤敏明さんが来てくださりました。

グリコ商品とブランドの力
グリコのお菓子の代名詞とも言えるキャラメル。赤色をメインカラーに採用し「1粒300メートル」というキャッチフレーズとゴールインする人物が描かれたグリコのパッケージデザイン。その存在や戦略が、グリコのデザインの原点となり現在も引き継がれているそうです。あまりお菓子に詳しくない私でも、このグリコのキャラメルパッケージは、幼い頃から知っています。長い年月を経ても変わらない一貫された巧みな印象づくりに改めて感銘を受け、ブランドの強さを実感しました。
また今回は、グリコのモノづくり/コトづくりについてもご紹介いただきました。デザイン部のみなさんは主にディレクションの役割を担っておられるため、TCDの役割とはまた少し異なる観点で制作に取り組まれています。スーパーなどあらゆる場所で見かけるグリコの商品。数多くのパッケージやweb、展示会などが、グリコのパーパスやビジョンに基づいてつくられ、世界観を担保しながらも時代とともに変化し続けていく姿を知りました。
その中でも興味を持った点は、「ポッキー」や「プッチンプリン」「カプリコ」など普段当たり前のように呼んでいるお菓子のネーミングです。オノマトペを巧みに取り入れたネーミングは、わかりやすく、記憶に残りやすいという効果があるそうです。たしかに、「ポッキー」や「プッチンプリン」などが、これまで違和感を持つことなく受け入れることができていたのは、幼い頃の自分でも「ポキッ」「プチッ」といった擬音に自然と共感ができたからだと思います。私は、高校生くらいまで棒状のお菓子は全部ポッキーだと思っていたほどです…。誰にでもわかるシンプルさは、やはり強いのだなと感じました。生活の中に深く浸透したグリコ商品の裏側を知ることができたのはとても貴重でした。
佐藤さんの「志事」
後半は、電化製品が著しい変化を遂げてきた時代背景の中で、ラジオや車、携帯電話など、生活を支える様々なモノをデザインされてきた佐藤さんの実績についてお話いただきました。44年間の経歴集は重厚感があり、1980年代〜2019年ごろに手がけられたデザインを時代背景とともに紹介してくださいました。私にとっては生まれる前〜子供の頃の話であり、とても新鮮で、まるで歴史の教科書を見ているかのような学びと革命の力強さを感じました。そのような時代をデザイナーとして駆け抜けてこられた佐藤さんにとって、モノづくりは、仕事ではなく「志事」と捉えることができるとおっしゃっていました。そこには「納得のいくものを最後の最後まで諦めず精緻に作り上げることに、時間も体力も惜しまない」という意味が含まれています。
デザインをはじめてまだ数年しかたっていない私にとって、長年培ってこられた佐藤さんのモノづくりに対する情熱を身近で感じることができたことは、とても大きな刺激でした。
昭和から令和へ社会的背景は大きく変わっていますが、デザインに対する志は変わってはならないものだと感じたので、私自身も「志事」として捉える習慣をつけ、より一層励んでいきたいと思います。
[筆者プロフィール]
宮﨑 ひかる
株式会社TCD デザイナー
スキンケア商品をメインに、芳香剤や日用雑貨など様々なパッケージデザインを担当している。かぼちゃと岩が好き。