2025.10.28

BtoB企業こそネーミングにこだわる〜名前で信頼感と価値を伝える〜

竹本 晃 株式会社TCD チーフコピーライター兼アカウントプランナー

BtoBの製品やサービスのマーケティングでは、デジタル施策や営業プロセスの最適化が重視されがちですが、実はネーミングが強力な味方になるケースもあります。信頼感が重要なBtoB市場だからこそ、事業の価値や専門分野を的確に伝える名前が不可欠です。本記事では、BtoB特有のネーミング戦略をTCDの事例とともに解説します。


BtoCとは違う、BtoBネーミングで重視すべき3つのポイント

名前の覚えやすさや発音のしやすさ、独自性など、基本的なネーミング開発のルールはBtoBもBtoCも同じです。しかし、両者では顧客の購買決定のプロセスや判断基準が異なります。BtoCの商品やサービスでは、直感での購入が発生しますが、BtoB商材では認知→情報収集→比較検討→商談→契約という段階を踏んで慎重に検討されます。そのため、ネーミング開発においても重視すべきポイントが変わります。


Point1:事業内容や提供価値
顧客の中で製品・サービスの機能や提供価値がネーミングと結びつくことは、BtoB市場においては大きなメリットになります。
BtoB商材は検討期間が長く、展示会や広告で一度製品やサービス名に触れ、しばらく経った後に顧客が自社の課題を認識し、情報収集を始めるケースもあります。そのような場合、USPやベネフィットとネーミングが結びついていると、顧客はあなたの製品・サービス名をすぐに思い出し、候補リストに入れる可能性が高くなります。
事業内容や提供価値の伝わるネーミングはマーケティングプロセスの中で、競合よりも1歩リードできる要因にもなり得ます。

Point2:長期的に使用できる普遍性
認知の拡大や話題性を狙い、バズワードやトレンドワードを使うことはお勧めしません。特にIT業界ではトレンドのサイクルが早く、いつまでもそのワードに関心が集まっているとは限りません。実際に、コロナ禍では「DX」という言葉がトレンドになっていましたが、現在では一般化してしまい目新しさがなくなっているのが良い例です。
一過性の流行で注意を引くよりも、貴社が持つ価値や強み、特徴といった本質的な要素で顧客の興味を引くのが理想です。

Point3:プロフェッショナルとしての信頼感
取引額が大きく、商材によっては企業の根幹に関わるBtoB市場では、「信頼」が導入の成否を分ける土台となります。親しみやすさを狙いすぎるあまり、軽い印象を与えてしまうネーミングや奇をてらったネーミングは、それだけで比較検討段階において不利になる可能性があります。
覚えやすさや言いやすさを高めつつ、貴社のプロフェッショナルとしての佇まいや誇りを感じられる名前にすることで、顧客に安心感を与えやすくなります。


TCDのBtoBネーミング事例

①JUCORE(住友林業株式会社)


JUCOREは、住友林業が提供する建材流通事業者向けのクラウドサービスです。住宅を表す「住(JU)」と「中心(CORE)」を組み合わせた造語で作られています。サービスが建材流通の中心的な存在となり、業界をアップデートしていく姿勢を表現しています。
シンプルで事業領域やターゲット、サービスに込められた想いが明確なネーミング例です。

②ハカルプラス株式会社(旧タケモトデンキ株式会社)


電気計測機器や産業用計量システムなどを展開するグローバルメーカー企業。コアドメインである「はかる」のエキスパートであることと、社会に役立つ事業や製品を生み出し続ける企業姿勢をネーミングとタグラインで表現しています。
事業内容と企業の目指す姿を、誰にでも理解できる言葉でわかりやすく表現した企業ネーミングの例です。

③MiTERAS(パーソルプロセス&テクノロジー株式会社)


社員の業務時間とコンディションを見守る仕事可視化機能を備えた勤怠管理クラウドサービスです。サービスの特徴から生まれた、“一人ひとりの「働き方」を、見まもり、照らし出す”というコンセプトが、ネーミングでも表現されています。
その製品・サービスならではの強いコンセプトが、ネーミング開発においても重要であることがわかる事例です。


参考)
企業ブランドネーミング実績

商品ブランドネーミング実績

スローガン開発実績


まとめ:BtoB企業において、ネーミングは強い味方になる。

BtoB市場においても、ネーミングは単なる識別記号に留まりません。企業や製品・サービスの信頼感や専門性、USPを顧客に伝え、導入検討を後押しする戦略的なコミュニケーション手段としても機能します。
TCDではネーミング開発を、調査やブランド戦略の立案から支援しています。新しい事業や製品、サービスの立ち上げを考えているが、どの市場を狙えばいいのか分からないという場合でも、お気軽にご相談ください。

[筆者プロフィール]

竹本 晃

株式会社TCD チーフコピーライター兼アカウントプランナー

言語化とプランニングの二刀流。コンセプトやコピーの開発、戦略立案、プロジェクト進行、WEBサイトや会社案内、ブランドブックの企画・構成など幅広く担当。趣味のスポーツ観戦では野球とバスケの二刀流。

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