2023.11.20

「パーパス」を軸にしたコーポレートサイトリニューアル【企画・設計】のポイント

日下 澄子 株式会社TCD プランナー

この記事では、「パーパス」を軸にした企業ブランディングプロジェクトにおけるコーポレートサイトリニューアルのサイト全体【企画・設計】のポイントを、TCDの基本の制作フローに沿って解説します。ブレのない企業ブランディングの一助となれれば幸いです。

この記事の目次

  • 1. サイトリニューアルの目的を明確化する
  • 2. 現状サイトの調査および課題の棚卸しを行う
  • 3. ターゲットを設定する
  • 4. 課題の優先順位を確認する
  • 5. 競合サイト・ベンチマークサイト分析
  • 6. サイトコンセプトの策定
  • 7. 重要コンテンツ(キラーコンテンツ)の企画
  • 8. 機能要件(概要)確認
  • 9. 予算検討のための概算費用見積もり・概算スケジュール検討


企画・設計のポイント

このコラムのフェーズ

1.サイトリニューアルの目的を明確化する

第1回の記事で、「パーパス」を軸にしたコーポレートサイトの役割とゴールの設定が大切であることを記載しました。例えば、求職者であれば「自分もこの会社の仲間になりたい」と感じるようになること、クライアント企業であれば「こんなマインドの会社と協業したい」と感じてもらえることです。
これを確認できたら、今回のサイトリニューアルの目的を明確にしましょう。例えば「我が社のパーパスを体現したサイトへ刷新する」などのサイトリニューアルの大義を定め、言語化します。


2.現状サイトの調査および課題の棚卸しを行う

現状サイト課題の棚卸しやそのための調査を行います。これはプロジェクトメンバーと課題の認識を合わせながらサイトリニューアルの方向性を策定するための重要な情報になります。
課題の棚卸しと調査は、サイトの見た目、機能、情報設計、操作性、プロモーション戦略などが対象となります。ここでは開発時のことだけではなく、公開後のサイト運用も見据えて調査することを推奨します。なぜならば、企業ブランディングにおいては、コーポレートサイトがブランドのあるべき姿を無理なく継続できることが大切だからです。そのためにサイト運用課題を確認し、場合によってはサイトリニューアルの要件としておきましょう。
この調査・棚卸し段階で、現状のサイト全体構成図およびページリスト(サイトマップ)を作成します。コーポレートサイトとして必要なページ、Webサイトとして必要なページ、実装したい機能を、サイト全体構成図(以下、サイト構成図)のかたちで表現します。またページリスト(ページの一覧表)を作成し、プロジェクト関係者と共有します。この2点は単にサイト全体やページボリュームを俯瞰するものではありません。見積もり検討、スケジュール策定、サイトがリリースされるまでの課題やタスク、進捗管理などのシーンで使用し続ける、とても重要なものです。



3.ターゲットを設定する

サイトのターゲットの優先順位を設定します。投資家、取引先、従業員、求職者、メディア、生活者…これらのステークホルダーに対して八方美人になろうとするのはやめましょう。それよりエンゲージメントを高めたいターゲットは誰なのか、優先度を定義します。これはターゲットを明確に定めることで、情報設計やコンテンツ企画、デザインにおいて、その企業ブランドらしさが明瞭となるためです。またデザイン検討時に個人が好みを主張し、議論が散乱することを防ぐことができます。結果的にプロジェクト関係者全員が納得したうえで、サイト開発がスムーズに進行します。デザイン検討については次回の記事で紹介します。


4.課題の優先順位を確認する

リニューアルの目的の明確化、課題の棚卸し、ターゲットの設定をしたら、現状のサイト課題を、リニューアル時の検討課題として整理し、優先順位を確認します。この課題の優先順位は、関係者で認識を合わせておくことをお薦めします。数年に一度のコーポレートサイトリニューアルの要件を、ご予算の都合だけで取捨選択し、本来目指したかった姿に対して中途半端なかたちとなってしまうことを防ぐためです。概算費用を算出してから再び見直すことはありますが、コーポレートサイトのあるべき姿を目指すための一歩として実施しましょう。


5.競合サイト・ベンチマークサイト分析

競合サイトやベンチマークとしたいサイトを観察することで、デザインや機能の改善ヒントを探ります。この時の分析(レビュー)の観点は、サイトの課題やリニューアルの目的、目指したいデザイン、KGI・KPIによって異なります。例えば、製品ページまでの導線の改善がサイト課題であるならば、競合サイトは大いに参考になるかもしれません。あるいは、ベンチマークにしたい他社サイトについて、なぜベンチマークにしたいと感じるのか観察してみることで、目指したい姿に近づくヒントや逆に反面教師的なことを得られるかもしれません。


6.サイトコンセプトの策定

「あるべき姿」の言語化・視覚化や、トーン&マナーの策定を行います。プロジェクト窓口だけではなく、トップや経営層、デザイナー、開発担当者など、プロジェクトに関わるメンバー全員が、同じ方向・同じ目標に向かって進行していくために必要となるステップです。


7.重要コンテンツ(キラーコンテンツ)の企画

重要コンテンツ(キラーコンテンツ)は、サイト内において最も重要なコンテンツのことです。企業「パーパス」の浸透・共感を促すためにも、サイト全体としてメリハリを持たせるためにも、重要コンテンツを定めておくことはお薦めです。重要コンテンツでは、メインのターゲットユーザーが、サイトを訪れた目的を達成できるコンテンツ、あるいは、メインのターゲットユーザーに響く内容を検討します。したがって企画のポイントは「ユーザー目線」であることです。ファーストインプレッションとなることが多いサイトトップページも第一印象がほぼ決まるものとして大切ですが、それとは別で、企業のパーパスを体現し、ユーザーに対してその「パーパス」をしっかり印象付けるコンテンツとして重要になってきます。


8.機能要件(概要)確認

サイトとして必要な機能や、運用課題を解決するための方法を、要件として整理していきます。このタイミングでは機能の詳細を確定させることは目的ではありません。まずは概算見積もりのための概要要件を確認します。CMSを導入したサイトを想定するのであれば、静的な固定ページとして制作を想定するページ、記事の投稿による更新を想定するページ(ブログ)の洗い出しが必要です。またこの段階で外部システムの組み込みや、システム開発の必要が想定できているのであれば、機能要件として資料へまとめていきます。


9.予算検討のための概算費用見積もり・概算スケジュール検討

サイト構成図からページリストを作成し、要件の整理ができたら概算見積もりおよび概算スケジュールを検討します。


以上がコーポレートサイトリニューアルのご相談をいただいた際に、TCDが標準的に実施しているサイト全体の【企画・設計】のポイントになります。各画面の設計(情報設計)はデザインと合わせて紹介した方がわかりやすいと思いますので今回は割愛し、次回の記事にて解説します。

TCDには企業のWebサイト黎明期から培った経験と、100種を超える業界経験があり、一人ひとりのお客さまにしっかり寄り添い、お客さま固有の課題を発見し、個別の最適解へと導く「オーダーメイド方式」の対応が可能です。
まずはお気軽にご相談くださいね。


[筆者プロフィール]

日下 澄子

株式会社TCD プランナー

企業の広報室、学校職員などを経てTCDへ入社。TCDではデザイナーを経験したのち、現在はWebを中心としたプランニング、ときどき鉄道車両のデザインプロジェクトに関わっています。趣味は歴史を感じる街歩き、灘五郷の酒蔵巡り、近所でゆるめのバードウォッチング。安全第一。静岡県出身。

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