2023.08.23

「脱・会社案内のWeb版」ー コミュニケーションの核となるコーポレートサイト作りを目指す理由

日下 澄子 株式会社TCD プランナー

「脱・会社案内のWeb版」ー コミュニケーションの核となるコーポレートサイト作りを目指す理由

企業ブランディングの一貫としてコーポレートサイトをリニューアルする際のポイントを、TCDの基本の制作フローに沿って解説していきます。全3回を予定しています。第1回となる今回は「企業とユーザーのコミュニケーションの核となるコーポレートサイト」を目指す理由を解説します。コーポレートサイトリニューアルを検討したい企業のご担当者さまにとって課題整理の一助となれれば幸いです。


ユーザーのタッチポイントにおける、コーポレートサイトの役割と立ち位置

TCDでは、企業ブランディングとは「自社の「あるべき姿」を言葉化し、視覚化し、社内外へ発信・浸透を図るすべての包括的な活動」と定義しています。つまり企業ブランディングは、ユーザーとのタッチポイントを「あるべき姿」に整えていくプロセスと言えます。

コーポレートサイトもユーザーとのタッチポイントの一つです。ユーザーはコーポレートサイトで、所在地などの静的で基本的な企業情報や探していた情報を得るだけではなく、企業の日々の活動から、企業姿勢・価値観・社会における存在価値・信頼性を感じとります。したがってコーポレートサイトは、単に会社案内や製品案内のWeb版という役割ではなく、タイムリーな情報でユーザーとの関係を構築できる「重要なコミュニケーションの場」とも言えます。


上記は「今」の話です。TCDでは1990年代の、いわゆるWebサイト黎明期と言われる時代から企業ブランディングの一貫としてコーポレートサイト制作に携わってきました。以下にこの経験からの所感を述べます。


2010年代半頃までのコーポレートサイトの役割と制作フロー

かつて(1990年代〜2000年代)のコーポレートサイトは、紙の会社案内や製品案内のWeb版的存在で、企業がユーザーに対して自社の情報を一方向で発信する存在でした。
その後、ユーザーからの問い合わせや意見を収集できる機能が実装され、企業とユーザーによる双方向でのコミュニケーションが可能となりました。それでも大局的見地から見れば、コーポレートサイトは紙の会社案内や製品案内のWeb版という存在であることには変わらなかったと言えます。

このように言えるのは、TCDの企業ブランディングプロジェクトにおけるデザイン開発フェーズ(デザイン開発を進める段階)では、まずは紙の会社案内を制作し、それをWeb用に流用展開するフローが基本であったためです。サイト更新も、ニュース記事やIR情報の更新を除いては会社案内改定のタイミングで行われました。つまり年1〜2回程度の更新です。

2010年代に企業とユーザーとのコミュニケーション手段としてのSNS利用が浸透してからは、多様化する情報ニーズの受け皿となるページを量産したり、自社メディアを運営したり、スマートフォンの普及でナビゲーションの操作性を含めサイト体験を改善するUI・UXの考え方を大切にするといった変化はありましたが、コーポレートサイト制作の基本フローのうち、コンテンツ制作の企画・設計、とくに「企業情報」部分の制作について目立った変化はありませんでした。


「パーパス」の浸透とコーポレートサイトの在り方の変化

時を経て、世界的なトレンドとして「サステナビリティ(持続可能性)」という大義名分のもと、企業は社会における存在価値を定義し、企業活動をこの定義にあてはめるかたちで整理・表現するようになってきました。さらに2019年頃から企業の存在意義「パーパス」の考え方が徐々に浸透し(※1)、「パーパス」の定義およびそれにともなう表現や情報設計の見直しも意識されるようになってきました。

またビジネスシーンにおけるWebの利便性を活かした変化(※2)はコロナ禍での経験でより加速し、企業はデジタルを核にしたコミュニケーションを模索するようになりました。リアルや紙を補完するツールとしてのコーポレートサイトの在り方は見直され、コーポレートサイトは今、「企業の顔」「企業とユーザーとの架け橋」となる存在へと考え方が変わろうとしてきています。社会における企業の存在意義、目指す姿やブランドの在り方、製品およびその開発、日々の活動、これらの情報を企業の「パーパス」が伝わる文脈へ整理し、それをユーザーと共有する場へと変化しつつあるのです。ニュース以外の日々の活動もコーポレートサイトからの情報としてタイムリーに発信されるようになってきました(※3)。

TCDの制作フローにも変化がありました。企業ブランディングのブランドコミュニケーションフェーズ(デザイン開発を進める段階)において、何よりも先ずコーポレートサイトを制作し、会社案内はそのあと着手するご相談が発生しています。数あるユーザーとのタッチポイントの中で、コーポレートサイトの在り方が変化し、重要度を増してきていると言えます。


「パーパス」を軸にしたコーポレートサイトの役割とゴールの設定を

以上のことから、コーポレートサイトリニューアルでは、企業の「パーパス」を軸にした企画・設計がポイントと言えます。企業とユーザーのコミュニケーション戦略を俯瞰し、ユーザーに対して企業の存在価値が伝わる情報設計、コンテンツ企画、運用方針の検討が必要となってきます。したがってサイトのゴールは、企業の「パーパス」に共感するユーザーを育てることを主眼にします。例えば、求職者であれば「自分もこの会社の仲間になりたい」と感じるようになること、クライアント企業であれば「こんなマインドの会社と協業したい」と感じてもらえることでしょう。

紙の会社案内Web版から脱却し、そんなコーポレートサイトリニューアルを目指してみましょう!

ここまでをふまえ、次回は「パーパス」を軸にしたコーポレートサイトリニューアルの【企画・設計】時のポイントを、TCDの基本制作フローに沿って解説いたします。

TCDには企業のWebサイト黎明期から培った経験と、100種を超える業界経験があり、一人ひとりのお客さまにしっかり寄り添い、お客さま固有の課題を発見し、個別の最適解へと導く「オーダーメイド方式」の対応が可能です。
まずはお気軽にご相談くださいね。


[筆者プロフィール]

日下 澄子

株式会社TCD プランナー

企業の広報室、学校職員などを経てTCDへ入社。TCDではデザイナーを経験したのち、現在はWebを中心としたプランニング、ときどき鉄道車両のデザインプロジェクトに関わっています。趣味は歴史を感じる街歩き、灘五郷の酒蔵巡り、近所でゆるめのバードウォッチング。安全第一。静岡県出身。

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