2025.06.25
TCDミニコラム #7)「ブランディングって、結局なんだろう?」プランナーの現場から考える
若松 貴三 株式会社TCD チーフプランナー

TCDの魅力を社員目線で発信します!
こちらはプランナーやデザイナーがライティングに挑戦するミニコラム企画。社員の個人目線から、TCDのイベントや魅力をカジュアルにお届けします。「TCDってどんな会社?」「どんな人がいるのだろう?」と思っている方は、ぜひご覧ください。
今回は、プランナー視点でブランディングを考えてみたいと思います。
「ブランディング」と聞いて、商品やデザイン、ロゴやスローガンづくりを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
でも、実際はそれだけではありません。
私が現場で感じているブランディングとは、その企業“らしさ”や想いを丁寧に言葉にし、形にして伝えることです。
今回は、あるIT企業のブランディングプロジェクトを例に、プランナーとしての視点を少しだけ共有したいと思います。
1. ブランドの“らしさ”は、深いヒアリングから見えてくる
その企業は、システム開発やネットワーク構築などを行ってきた、設立数十年の歴史ある会社です。技術力や実績には定評があるものの、「一般層への認知度が低い」「事業内容が外から見えづらい」「積極的に提案ができない」といった課題感を抱えておられました。
最初は「もっと先進的な印象にしたい」という声もあり、役員やプロジェクトメンバーの皆さんへのインタビューを重ねました。そのうちに浮かび上がってきたのは、“誠実で着実な仕事ぶり”や“決して最後まで仕事を諦めない”といった、この会社ならではの強みでした。
そこで私たちは、「誠実 × 情熱」というキーワードを軸に、新しいブランドの方向性を組み立てていくことにしました。
2. 社内にこそ、ブランドの“伝え先”がある
ブランディングというと、外部への発信ばかりに目が行きがちですが、実は社内での理解と共感が何より大事だったりします。このIT企業では、新しいブランドコンセプトをつくるために、ディスカッションだけでなくワークショップも取り入れて理解を深めました。
そうすることで、営業やエンジニアそれぞれの立場の視点から「うちの強みって、こういうことかも」という気づきが生まれ、声が明文化され、社内外への発信が一貫性のあるものへと進化していきます。
3. ブランドを“日常で使える”ようにするには
せっかくつくったブランドも、日常で使われなければ意味がありません。だからこそ、私たちは「現場でちゃんと機能するか?」という視点で、運用面まで含めた設計を大切にしています。例えば、名刺やWebサイトはもちろん、営業資料や提案書のトーンまで細やかに整え、ブランドの世界観が日常のあらゆるシーンで自然に伝わるよう設計します。
ブランドは、日々の様々なコミュニケーションやタッチポイントの中で“育っていく”もの。だからこそ、社内の人が自然に使えて、無理なく続けられ、改善できるようにプランニングすることを心がけています。
ブランディングは、ただ「かっこよく見せる」ことではありません。
その企業の“らしさ”をどう伝えるかを考え、言葉とカタチで想いを届けることです。
実は、その企業ならではの魅力や強みは、すでに中にあるもの。
それを見つけて引き出し、磨き、伝える——。スポーツで言えば、チームの特長を分析して、試合で表現し、一丸となって目標に向かっていく。そんなお手伝いができることを、プランナーとしてとても嬉しく思っています。
[筆者プロフィール]
若松 貴三
株式会社TCD チーフプランナー
アーティストマネージャーと野外音楽フェスティバルでの制作・広報業務に20年余り従事。TCDではプランナーとしてブランディング・デザインに携わる。週末はママパパバレーに奮闘中。