2024.01.26

2024年注目のブランディングトレンド

大杉 涼子 株式会社TCD デザインディレクター

2024年注目のブランディングトレンド

2024年を迎え、はや1ヶ月が経とうとしています。コロナが落ち着き、人々の消費活動が活発になる一方で、深刻なニュースが相次いでいます。このような状況はブランディングにどんな影響を与えるのか? 2024年に注目すべきブランディングトレンドをご紹介します。


進化するブランドのAI活用

2023年には、「ChatGPT」が流行語大賞にノミネートされ、また、「Midjourney」などのテキストから画像を生成できるソフトが注目を集めました。2024年も、画像生成ソフトやAIのビジネスへの活用が様々な業界で急速に進展しています。大量のデータを分析し市場動向を予測するだけでなく、パーソナライズされた顧客体験を提供するために活用され、また生成AIを用いてクリエイティブなコンテンツを制作するなど、AIの導入がブランド戦略においてますます鍵となっています。

先駆的なファッションを生み出してきたパルコは、この冬に同社初の試みとして、最先端の画像生成AIを活用したファッション広告「HAPPY HOLIDAYS」を制作・公開しました。この広告では、登場する女性モデルから音楽、ナレーションまで、全てが生成AIによって制作されました。

参考サイト)生成AIでキャンペーンビジュアルを制作 パルコの“前例のない創造”


ブランドにユーモアを

広告業界を中心に、「ユーモア」を取り入れたクリエイティブが再び注目を集めています。日本オラクルの調査によれば、89%の消費者がユーモアのあるブランドを好み、ユーモアはブランドへのロイヤルティや再購入を促進するとされています。パンデミック、ウクライナ戦争、物価上昇、災害など不安な状況の中で、世界中でユーモアを取り入れたブランディングが求められています。良い笑いは癒しとなり、2024年も同様に重要視されるでしょう。

ヨーロッパを中心に高い人気を誇るレストラン予約アプリのThe Forkは、「The Forkを使って予約しないなんて、まるで〇〇しないのと同じ」という斬新でユーモラスな比喩表現を駆使し、サービスのメリットを訴求しています。

参考サイト)The Forkを使わず予約するなんてありえない!極端な例え話で訴求力抜群のCM


ビビットで大胆な表現

先ほどの「ユーモア」と同様の理由から、気分を明るく元気にしてくれる大胆でビビットなブランディング表現が注目されています。多彩な色彩や躍動感あるテキストは、記憶に残るブランド体験を生み出し、ブランドを喜びと結びつけるために幅広く活用されています。80年代風のネオン、スタイリッシュなパステル、そしてカラフルなグラデーションなどは、ファッションやエンタメ業界、Z世代向けのビジュアル表現との親和性が高いと言えます。ブランドはより動的で柔軟なビジュアルアイデンティティを採用し、流動的なロゴやカラーバリエーションが一般的になります。
空気が浄化できる革新的な塗料ブランドGushのリブランディングは、ペンタグラムによって手がけられました。空気を象徴するドットパターンや、サステナブルで豊かな生活を、ビビッドで大胆なグラフィックで表現しています。

参考サイト)Gush


インクルーシブと共感

多様な人口統計や文化を真に反映するブランドは、今日の多様な消費者に強い共感をもたらします。現在、広告の大部分が自分の周りの世界を適切に反映していないと感じる人が72%もいるため、ブランディングにおいては大きなギャップが存在しています。2024年には企業が人種、民族、性別、性的指向などの顧客層の多様性をより一層反映することが予想されています。多様性に焦点を当てた結果、ブランドは文化的なアイコン、民族的に多様なイメージ、包括的なイラストを取り入れ、より幅広い層の観客とつながることが期待されています。
2014年にアメリカで設立された絆創膏メーカーTru-Colourは、黒人によって運営されています。彼らは自分たちの肌の色を反映した絆創膏がないという長年の問題に取り組み、4つの肌タイプにあったラテックスフリーの絆創膏を販売しています。

参考サイト)Tru-Colour Bandages


2024年のブランディングトレンドの中から注目の4つをご紹介しましたが、いかがでしたか? コロナ禍を経て不穏な情勢が続く中、明るく自由な表現、ユーモアや喜び、安らぎが、今改めて求められているのではないでしょうか。

[筆者プロフィール]

大杉 涼子

株式会社TCD デザインディレクター

大学卒業後に渡米。ニューヨークのFashion Institute of Technology でグラフィックデザインを学ぶ。2013年からTCDにてパッケージデザインや商品ブランディングに携わる。

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