リアルな体験をブランディングする
Brand Experience(ブランドエクスペリエンス)

ブランディングに関する書籍を読むと、必ず目にする言葉があります。例えば、ブランドイメージやブランドロイヤリティー、ブランドアーキテクチャー、ブランドパーソナリティー、ブランドプロミス、ブランドバリューとブランドという言葉に関するものだけでも様々な単語があります。今回は、その中でも「ブランドエクスペリエンス」に関して、実務も交えて、お伝えできればと思います。

ブランドエクスペリエンスにあたる施作として、わかりやすいのは、展示会やカンファレンスではないでしょうか。エクスペリエンスは、体験や経験を意味する言葉ですが、展示会やカンファレンスは、まさに、そういった空間であり、そういったやり取りが行われる場でもあります。もちろん、様々なタッチポイントでの体験やその蓄積もブランドエクスペリエンスの一つですが。

Ref.; Starbucks U.S. Instagram, https://www.instagram.com/starbucks/

Ref.; Red Bull, red Bull MINI, https://www.redbull.com/jp-ja/red-bull-mini-magazine-wings-team

上記は、顧客がスターバックスの店内を撮影し、スターバックスの公式インスタグラムにアップした例。また、レッドブルは、日本でもお馴染みのサンプリングカーの例です。店頭でモノを売るだけではなく、空間や時間に含まれた情緒的な価値も人々に提供しています。

一方通行のコミュニケーションではなく、相手がリアルに存在する、リアルタイムにやり取りがなされるという双方向性は、様々なメディアの中でもアナログ的な印象があるかもしれません。だからこそ、このブランドンエクスペリンスを有効に活用することは、企業にとって重要な機会と考えることができます。

先に挙げた展示会やカンファレンスは、戦略的な顧客を主なターゲットとすることが多いのですが、社員が潜在的な顧客に対して、製品を提示し試用してもらう。そして、その価値への理解を深めてもらうと同時に、社員やその空間演出によって、相互的にリアルにブランドの世界観を体験してもらうことにもなります。
つまり、製品やサービスの機能的価値を伝えると同時に、会社や社員の存在を情緒的価値として伝え、顧客に体験してもらう空間や時間となり、確固たるブランドをつくる上で重要な戦略の一つとなります。TCDでは、その一例として、下記にある海外展示会の業務を担当しました。

Ref.; TCD, Works, 船場電気化材様, http://www.tcd.jp/case/global-branding/senba_dutch/

ブランドエクスペリエンスは、昨今、デジタルの分野でも「カスタマーエクスペリエンス」という言葉で、その重要性が説かれていますが、リアルな機会としての場を活用して、ブランドエクスペリエンスの有用性を最大限にいかす上で、まずは、「顧客にどういった体験をしてもらいたいのか」、「ブランドに対してどういった感情移入を求めるのか」という観点を明確にし、それを達成する上での戦略や準備が必要かと考えます。


[筆者プロフィール]
後藤義和  クリエイティブディレクター
株式会社TCD ブランディングデザイン&インターナショナルセクション
イギリス ロンドンのUniversity of the Arts London, MA Graphic Designを修了し、帰国後、TCDにて、企業のブランディング業務に従事。