2022.08.03

ブランド力向上のための、
成長し続ける新VIガイドライン開発

植村 佳菜子 株式会社TCD チーフデザイナー

ブランド力向上のための、成長し続ける新VIガイドライン開発

VI(ビジュアルアイデンティティー)ガイドラインとは、主にロゴやカラー、最小使用サイズ、余白規定や禁止例などを記載した基本デザインシステムとアプリケーションデザインにおける運用方法を記載したブックのことです。
VIガイドラインは、ブランドロゴの策定後に制作するものですが、「作って終わり」ということはなく、日々の運用にあわせた改訂や、媒体の変化にあわせて内容の更新が必要になっていきます。
ただ、1980年〜2000年のCIブームやホールディングス会社急増に伴うロゴの変更の折に、ガイドラインを制作して現在までそのまま…ということは珍しい話ではありません。
現に、既存の古いガイドラインを刷新したい、というご依頼をいただくことが多くあります。今回事例としてご紹介する南海電気鉄道株式会社様も、ブランドスローガン「‘なんかいいね’があふれてる」を新たに策定したのをきっかけに、90年代に制作したブランドガイドラインを更新したいという要望から、新VIガイドライン開発の案件がスタートしました。

問題点の洗い出しからのスタート

まず、VIガイドライン刷新のために、現状どのような問題があるか、可能な限り実際の事例を集めて検証する「ブランドオーディット」から始めました。事例を集めて並べてみることで、ロゴの配置がバラバラでブランドの統一性がとれていないなど、様々な問題を可視化することができます。同時に、問題が起こりやすい場面や、新たに規定が必要な部分が見えてくるため、改訂の方針が明確になっていきます。
また、既存のVIガイドラインの認知に関する社内アンケートでは、紙の冊子で管理されているためどこにあるかわからない、若い世代がVIガイドラインの存在を知らない、という結果が出ました。新しいVIガイドラインは、その存在意義についても理解を広める必要性が浮き彫りとなったのです。

現場目線の「VIガイドライン開発」への道

膨大なブランドオーディットを経て、ようやくVIガイドライン制作へ移行していきます。ブランドオーディットの中で露呈した問題点や、既存のルールを元に、改めて記載内容を整理します。
もともと、紙の冊子で各部署に配布していたガイドラインを、イントラネットで共有できるデジタル版に変更。複数あったロゴの表示方法を減らすことで、よりシンプルに整理し、ブランドの見え方を統一。アプリケーションデザインでは、今まで規定のなかったデジタルサイネージや動画での表示規定なども追加され、より現代に合わせた内容にアップデートしていきました。
また、VIガイドラインの必要性や注意点を周知するために、各部署から関係者を集めセミナーを開催。VIのもたらす効果やメリットについて共有し、運用上の注意点をクイズ形式でわかりやすく紹介しました。同時に、必要なデータやガイドラインがどこに格納されているかもセミナー内で周知することで、それぞれの担当者が、必要な情報に常にアクセスすることが可能となったのです。

成長していくVIガイドラインへ

VIガイドラインの必要性を各担当者が認知することで、ロゴを使用する際はガイドラインを遵守する流れができました。ガイドライン内に記載のない運用方法については、随時ブランディング部署に問い合わせや確認が集約されるため、統一したブランド表現への指示が可能となります。また、より使いやすいガイドラインへの、今後の改訂のための情報収集も同時に行うことができるようになり、結果として、全体的なブランド力向上へと繋がっていきました。
VIガイドラインは「作って終わり」ではなく、「作り上げて成長していくもの」です。過去に規定したルールに縛られすぎて、ブランドの統一感がない、運用がうまくいかない。そんな場合は、今一度そのガイドラインが使いやすいか、その時代に馴染んでいるかを、改めて見直すことが大切です。

 

■南海電気鉄道株式会社
http://www.nankai.co.jp/

 

[筆者プロフィール]

植村 佳菜子

株式会社TCD チーフデザイナー

VI、ブランドガイドライン制作などのブランド開発に主に携わりながら、WEBやイラストを用いたパッケージデザインなども担当。現在はAEでモーショングラフィックを勉強中。

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