カモフラージュ

カモフラージュという言葉から、何を想像されるでしょうか。迷彩柄や軍人の制服、ジャングルでしょうか。
これらは、周囲にとけ込むということから、発見されにくくする、視認性などを下げる効果として取り入れられています。
そういった手法をフォーミュラ1のレーシングカーのデザインに取り入れたレッドブルというチームがあります。
本来であるならば、車のボディにスポンサーのロゴを入れる際は、その視認性や独立性などを考慮して、表示されるのが一般的とされます。
しかしながら、レッドブルの車は、モノクロでデザインされ、また、ロゴの表示もまさにカモフラージュな体裁でレイアウト、デザイン、カラーリングがなされています。タイトルスポンサーであるレッドブルは、様々なイベントやスポーツをスポンサードしていますが、チーム代表Christian Horner氏は、「(他と)異なることをすることに、ためらうことはない、怖がることはない」と述べています。

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Fig1) Dailymail HP

一方、カモフラージュという手法の特性を活かして、ライバルチームへの空力デザイン・特性のヒントを提供しないようにするという目的もあるようです。実際に、ChristianHorner 氏も「カモフラージュなデザインからは、車の細部に関する情報を得るのは困難だろう」と述べています。
つまり、この手法は、形状やアウトラインの規則性への判断を困難にした目的あるデザインとも言えます。
ちなみに、第二次世界大戦中、英米海軍は、船の大きさや船までの距離を隠す為に、同様のデザインを採用していたとのこと。

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Fig2) ESPN F1 HP

レッドブルは、ある意味、新規性をもって、また、目的をもって、カモフラージュという手法を採用したということになります。ちなみに、下の写真は、カモフラージュのカラーリングと通常のカラーリングの比較です。通常のカラーリングは、レッドブルのブランドカラーを基本に、各スポンサーのロゴを配置しています。

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Fig3) http://www.laf1.es

ファッション性ある業界では、ユニークなロゴの表示や仕様はあるでしょうが、莫大なスポンサー資金を投入して、車体に表示されるロゴに関しては、その視認性や独立性、明視性や識別性などの機能上への配慮を下げて表示するのは稀です。レッドブルが今回施したデザインは、新規性という視点では、ユニークで話題性があると言えるでしょう。また、技術への秘密性という視点も合わせた双方のバランスを考慮したデザインは、興味深いものでもあります。ちなみに、カモフラージュのデザインは、本レース前のオフシーズンの車のテスト・開発期間限定で採用されたものです。


参照)
BBC SPORT
CITY A.M.
ESPN F1
Telegraph Media Group Limited


[筆者プロフィール]
後藤義和 株式会社TCD デザインディレクター
英国、University of the Arts London / MA Graphic Designを修了し、
帰国後、TCDにて、企業のブランディング業務に従事。