2025.01.28
商品ブランディングに重要なのは、
顧客に新鮮な感動を与える「ブランド体験の鮮度」
山崎 晴司 株式会社TCD 代表取締役社長 クリエイティブディレクター
2025年は、消費者の価値観や嗜好の変化がさらに顕在化する
21世紀も4分の1が過ぎ、2025年が始まりました。毎年この時期になると市場予測に関する記事が増えますが、今年はコロナ禍後の変化の定着、気候変動、消費の世代交代などが影響し、各業界で消費者の価値観や嗜好の変化がこれまで以上に顕在化すると考えられています。
特に競争が激化する市場においては、消費者のニーズや嗜好が急速に変化しています。そのため、ブランドはイノベーションを追求しながら、効果的なコミュニケーション手法を採用し、常に新しい価値を提供する必要があります。
イノベーションは新商品やサービスの開発だけでなく、既存の商品や体験の刷新(ブランドリニューアル)も含まれる広範なプロセスです。加えて、顧客とのコミュニケーションを強化し、フィードバックを積極的に取り入れることで、ブランドはよりパーソナライズされた体験を提供できるようになります。結果として、ブランドは市場での競争力を維持し、顧客にとって欠かせない存在となるでしょう。
ブランドの「鮮度」を維持するために必要なことは?
言い換えれば、現代の市場で企業が持続的に成長するためには、ブランドの「鮮度」をいかに維持するかが重要です。顧客に新鮮な感動を与え続けるためには、イノベーションとコミュニケーションの両立が不可欠です。
改めて、ブランドの「鮮度」を維持するために重要な戦略や取り組みについて、以下にポイントをまとめました。
(1)市場調査と顧客フィードバックの活用による、感情的つながりの強化
定期的な市場調査を実施し、顧客からのフィードバックを積極的に収集することで、製品やサービスおよびプロモーションの改善に活かします。ストーリーテリングや体験型マーケティングを通じて、ブランドの機能的価値だけでなく、顧客との感情的なつながりをより深め、共感を生み出すことが重要です。
(2)ブランディング戦略におけるイノベーションの推進
新商品やサービスの開発に加え、既存の商品やサービスを見直し、新たな顧客価値を創造し続けることで市場の変化に適応します。また、ブランドコンセプトやビジュアルアイデンティティを定期的に見直し、場合によっては大幅な刷新(リニューアル)を検討し、現代のトレンドや消費者の価値観に合わせて戦略を更新します。
(3)持続可能性とコラボレーションへの取り組み
環境への配慮がますます重要視される中、サステナブルな取り組みの強化は必須の課題となっています。商品開発やデザインにおける素材やプロセスを見直し、場合によっては他ブランドとのコラボレーションを通じて新たな視点や技術を取り入れ、自社の強みを活かしつつ、社会課題への貢献と顧客価値の創造を両立させる努力が求められます。
これらの戦略を実施することで、ブランドの魅力を保ち、常に顧客に新しい価値を提案し続けることが可能です。
<弊社事例>ブランドリニューアル
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「期待を実態に」「目的を結果に」するブランディングを目指す
このようなブランドの鮮度維持に関する活動は、「求める結果」につながることが何よりも重要です。しかし、私たちがブランディングのご相談を受ける際、ブランド側の求める結果が曖昧であることが少なくありません。「まずはブランディングをするべき」という議論から始まるのではなく、「どんなブランドになりたいか(目的)」を考えることが必要です。目的のない活動から生まれる結果は、納得のいくものにはなりません。
ただ、一口にブランディングと言っても、それぞれのブランドの現状が異なるので、目標や戦略の設定も簡単なものではありません。ブランディングへの期待が高まる中、実施しても良好な結果が得られないと感じる場合、多くは目標が的確に設定されていないからではないでしょうか。
TCDは、ブランディングへの期待を実態に、また、目的を結果につなげるサービスの提供を目指し、ブランドが抱える課題の洗い出しから目標設定、戦略の策定といった、ブランディング活動において重要なフェーズを、皆様と一緒になって取り組んでいきます。そして、ブランドのイノベーションとコミュニケーションを支援するブランディングデザインの実装を通して、2025年も引き続き、皆様のブランドが「顧客に新鮮な感動を届ける」お手伝いができれば幸いです。
[筆者プロフィール]
山崎 晴司
株式会社TCD 代表取締役社長 クリエイティブディレクター
企業や商品に関するブランドの立ち上げやリニューアルに長年従事。 ブランドに自信と力を与え、ステークホルダーの深い共感を生み出すことを目標に、新商品開発、コンセプトや戦略策定、トータルクリエイティブをサポート。