2020.03.31
ネーミングを自社内で考えるメリットとデメリット
由良 綾子 株式会社TCD コピーディレクター
TCDでは、商品名、ブランド名、会社名など、さまざまなネーミング開発を行なっています。その中で「社内制作や社内公募でネーミングを決めようとしたけれど、うまくいかないので力を貸して欲しい」というご相談を受けることがあります。
自社内で進める場合のメリット
社員がネーミングに参加するメリットとしては、下記が挙げられます。
●社員が自分ごととして考え、対象への知識と愛着が高まる。
●社内の議論が活性化する。
●ベテランから新入社員まで、幅広い社員が参加機会を得られる。
●意外なセンスを持った社員が見つかることがある。
自社内でのネーミング開発の難しさ
一方で、お困りの状況としては、下記のようなものがあります。
●応募案の数が少ない。あるいは似たような案ばかり。
●会社や商品のクオリティに合わない案がほとんど。
●流行や他社のヒット商品の影響を受けた案が多い。
まずはネーミング案自体の質と量という、根本的な問題。あるいは募集する際の情報内容や条件に課題が見られる場合もありました。
次に、応募案からの選出で難航する場合も。
●想定以上にバラエティーに富んだ案が集まり、収拾がつかない。
●数案に絞ったものの、一つに決めきれない。
これらは、どのようなコンセプトに沿ってネーミングを考え、決定するのか、しっかりとした基準を持たないままに進めてしまったことが主な原因です。
当初のコンセプトから大きく乖離したネーミングが選出されるケースも見られ、全員がコンセプトをきちんと共有し、ブレずに進めることが重要となります。
また、社内ならではの難しさとして、選出や投票を行う際、制作者の名前を見たり、無記名でもコメントなどで推測できてしまい、「どんなネーミングか」よりも「誰が制作したか」に左右されてしまった、というケースも見聞きします。
さらに、候補案が決定してから課題が発生する場合も。
●商標登録が難しい。
商標について確認しないままネーミング開発を進めてしまうと、いざ商標登録や公表という段階で「使用できない」ということになりかねません。最初に案を出す段階から、商標をふまえて進めることが望ましいです。
●既存のロゴやデザインとのバランスが取りにくい。
●日本語のみでネーミングを進めたが、アルファベット表記にすると読めない。
ネーミングはさまざまなシチュエーションで使われ、複数のアイテムや媒体に展開されることも多いので、デザインや表記への配慮も必要となってきます。
TCDではブランディングとデザイン、商標の観点をふまえ、明確なコンセプト、判断基準に基づいて、企業・ブランドの価値を高めるネーミング開発を行なっています。
社内開発でお困りの際、また新規ネーミングについてのご相談も、お気軽にお問い合わせください。
[筆者プロフィール]
由良 綾子
株式会社TCD コピーディレクター
紙媒体からWebやムービーのライティング、ネーミング、コンセプト立案まで、TCDのコピーライティングを幅広く担当。二級知的財産管理技能士。趣味は国内外を問わず、旅行と街歩き、食べ歩き。