2024.04.25

グローバルネーミング開発前に押さえておきたい3つのポイント

由良 綾子 株式会社TCD コピーディレクター

時代のニーズに合わせた高付加価値製品の開発〜高まる睡眠市場
「国内外で展開予定の新ブランドのネーミングを作成したい」「今は日本だけで発売している商品に、海外用のネーミングが必要」そんなご相談が増えています。日本国内向けとは異なる点も多いグローバルネーミング。意外と盲点になりがちな3つのポイントをご紹介します。


●ポイント1. 進出予定の国だけ?どの国を対象にするか

現段階での進出予定国は決まっているものの、「将来的に進出するかもしれない国も、対象に入れておいた方が良いのでは?」と迷ってしまうケースが見受けられます。
対象国によって、開発するネーミングの言語やトーンが変わる可能性があります。さらに商標を取得する場合は、取得の難易度、所要期間や費用にも影響が及びます。
ネーミング開発前の段階で、どの国を対象とするか決めておくことをおすすめします。


●ポイント2. 将来は幅広く展開するかも?どの範囲で使用するか

商標を出願する場合、商品や役務(=サービス)を使用する範囲を指定し、その商品・役務が属する「区分」(商品・役務を第1〜45類に分類したもの)を記載しなければなりません。さらに細かく分類・グループ化したものとして日本では「類似群コード」も使用されていますが、国によって異なる場合があるので注意が必要です。

商標が権利を持つのは原則的に、指定した商品・役務とその類似の範囲内に限られるので、出願前にしっかりと確定させておかなくてはなりません。

この商品・役務の指定でつまずいた一例が無印良品です。中国進出に向けた商標出願の際に、24類(タオルや寝具など)の一部指定が漏れており、中国企業に権利を奪われてしまいました。その結果、そっくりなタオルや寝具、店舗が中国で展開され、20年以上にわたって係争を繰り返す事態となったのです。こうしたトラブル、模倣を防ぐためにも、適切な商品・役務の指定が重要となります。

しかし、やみくもに幅広く取れば良いというわけでもありません。すぐに使用しない指定商品・役務で商標を出願しても、3年以上使用していなければ不使用取消審判を起こされたり、国によっては取得できないケースもあります。

ポイント1の対象国と同様、商標取得の難易度や取得期間、費用にも影響して来るので、弁理士をはじめとした専門家に相談の上、予算や優先順位に応じて確定してください。


●ポイント3. ネーミングだけ?ロゴとセット?どの形で商標登録をするか

「商標権はネーミングなどの文字だけ。ロゴはデザインだから意匠権」と考えていませんか?商標とは「事業者が、自己(自社)の取り扱う商品・サービスを他人(他社)のものと区別するために使用するマーク(識別標識)」と定められており、ロゴマークも商標登録が可能です。
ここで生じがちなのが「次の3種類のうち、どれで商標登録をすれば良いのか?」という疑問で、日本国内も海外も共通のポイントになります。


1.標準文字のみ


2.ロゴマークやシンボルマークのみ


3.ロゴマークやシンボルマークと文字の組み合わせ

※1〜3のTCDの例は説明用に示したもので、実在のデザインではありません。


その答えは、企業なのかブランドなのか商品なのか、どのような形や媒体で使われるのか、ロゴやネーミングの識別力の高さなどで変わってきます。
企業のネーミングとロゴであれば、それぞれ単独でも使用したり、レイアウトを変更したりする可能性が高いので、1と2の両方を取得することが望ましいでしょう。商品などでネーミングとロゴを必ずセットで使用する場合なら、3のみの登録も考えられます。

費用や取得難易度に影響し、また3年以上使用していないと不使用取消審判を起こされる可能性もあるので、どのような形で使用するのかを踏まえて慎重に決定してください。


今回挙げた3つのポイントをはじめ、決めるべき事項が多いグローバルネーミング。
TCDでは開発前からじっくりとお話を伺い、ふさわしいネーミングをともに創り上げていきます。ぜひお気軽にご相談ください。


[筆者プロフィール]

由良 綾子

株式会社TCD コピーディレクター

紙媒体からWebやムービーのライティング、ネーミング、コンセプト立案まで、TCDのコピーライティングを幅広く担当。二級知的財産管理技能士。趣味は国内外を問わず、旅行と街歩き、食べ歩き。

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