BE INSPIRED〜韓国の化粧品メーカー「アモーレパシフィック」ブランディング〜

「BE INSPIRED」では、TCDのグローバルチームが日本以外の視点から見たブランディングに関する海外のトピックスをお届けします。
2回目は韓国出身のグラフィックデザイナーが注目する韓国のブランディングです。


1. タイの焼肉店「Bar B Q Plaza」のブランド体験
2. 韓国の化粧品メーカー「アモーレパシフィック」ブランディング


アモーレパシフィック(略:アモーレ)は、1945年9月に韓国で設立された国内シェア一位の化粧品メーカー。その後、コーポレートブランディングを実施し成功をおさめています。アモーレの社名が株式会社太平洋(略:太平洋)だった頃は、時代遅れのイメージや化粧品会社より日用品メーカーとして認知されており、商品の主な流通は小売店でした。

太平洋に転機が訪れるのは2000年代のロードショップのブームに始まります。(ロードショップとは韓国で、路面にて低価格帯の商品を売る店舗)韓国には当時ドラッグストアが無かった為、化粧品を購入する際には小売店か百貨店で購入するしかありませんでした。
その点に気づいたアモーレは、販売する場所としてロードショップに目をつけます。顧客は気軽に店に入り試すことができる。また、在庫管理が容易なブランドストアを作り出すことができました。小売り販売していたETUDEは、ETUDE HOUSEにリブランドし、ロードショップを活用したブランドストアを戦略網として販売し話題となりました。ラブリーなデザインだと、ネガティブな声もありましたが、大手メーカーが作っているから信頼できる、との声も大きかったのがヒットした理由です。

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ETUDE HOUSE店舗
参照) http://design.amorepacific.com/blog-product-design/2014/11/11/4s9am8e4xnxns8e93il0uvw5o0xygg

ETUDE HOUSEで成功をしたことで、さらに新しいブランドをローンチします。それは、今、中国で話題のイニスフリーです。総括ディレクターは、韓国ブランディングの母と呼ばれるソンヘウォン氏で、緑茶をモチーフに、オーガニックで環境に優しいをコンセプトにしています。ブランド体験の一環としては、店舗にカフェを設置し、化粧品で使っている原材料(茶葉)で緑茶を楽しめる。そういった体験から自然志向のブランドだと認知されています。
しかしながら、ローンチされた当時は、飲料系緑茶ブランド「ソロク」のブランドストレッチだと考えられていました。ソロクはスーパーで手頃に買える緑茶で、オーガニックのイメージも薄かった為、その後、チェジュ島の原材料を使用した製品ブランドにリポジショニングします。「奇麗なチェジュ島」とアピールし、環境に優しいことをコミュニケーションする為に、使用後のボトルを回収。また、二酸化炭素の排出量が少ない素材を容器に使用。この戦略は消費者の心を動かし、売上げは伸び今に至ります。結果的に、企業イメージの改善にもつながりました。

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(innisfree 中国店舗CAFÉは2階、化粧品を買わない人でも利用可)
参照) http://design.amorepacific.com/blog-product-design/2014/10/27/-br

この二つのブランドが成功したことをきっかけに、同社は、コーポレートブランディングを行いました。企業のイメージ向上や価値向上、インナーブランディングを含め、社名を太平洋から、アモーレパシフィックに変更したのです。

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ETUDE HOUSEやinnisfreeなどのブランドのローンチ。そして、コーポレートブランディング。2013年には、社内デザイン部をアモーレパシフィックデザインラボと改名し、全自社製品をブランディングし、店舗やサービス、プロダクトなど一貫したブランディングを行う事で、ブランドの強化やマネジメントを徹底しました。オソロクは、その一例になります。

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参照) http://design.amorepacific.com/blog-product-design/2016/2/5/-

現在、本ブランドと店舗は観光客にも歓迎されています。私も高校生の頃、たまに利用していたのですが、観光客に受け入れられるとは、当時は想像もつきませんでした。

アモーレは一貫したブランディングに力を入れ、その結果、約15年で、韓国国内での企業イメージは「グローバル」で「洗練した」ものとなり、また、女性が憧れる企業としてのイメージを得ることができました。次回は、アモーレの書体等に関してレポートしたいと思います。


[筆者プロフィール]
Jiwon Byun(ビョン ジウォン) 株式会社TCD デザイナー
韓国出身。在住14年目。韓国では京畿芸術高等学校卒業。その後、京都造形芸術大学 情報デザイン卒業。