2015.02.06
Branding Topics #36:東京のブランディング戦略
田中 恵子 株式会社TCD クリエイティブディレクター
東京がブランディング戦略に動き出す
2020年東京オリンピック・パラリンピック開催が決まりました。開催へ向けて、あちこちでいろんな準備が進んでいますが、東京都では、この機会に東京を印象づけるため「東京ブランド」の確立を目指すのだとか。
たしかに、今まで「JAPANブランド」は言われてきましたが、「東京ブランド」としてはあまり打ち出されてこなかったので、面白い取り組みになりそうです。昨年の6月から「東京のブランディング戦略会議」が設置され、先日報告書として「東京のブランディング戦略(素案)」が発表されました。
海外から日本へと訪れる旅行者に向けて、「東京ブランド」をどう打ち出すべきか、を調査/分析を経てまとめています。
都市のブランディングってどういうこと?
近年「地域ブランディング」といった言葉をよく見かけるようになりましたが、その地方の特産品などを「ブランド」化して、特徴をわかりやすく打ち出して行く取り組みが多かったと思います。今回の「東京ブランド」戦略は、もっと幅広く、「東京といえばこう」、という魅力的なイメージを構築していく一大プロジェクトになります。
たとえば、一足先に都市ブランディングを実施したニューヨークでは、「I♡NY」のシンボルのもとに、芸術・文化、エンターテインメント、小売店に至るまでコンセプトやガイドラインを共有し、統一したイメージで展開しています。
http://www.iloveny.com/
先日オリンピックがあったイギリスでも、「GREAT」キャンペーンが展開されていました。イギリスのさまざまな「GREAT」をポスターで象徴的に表し、サイトを始めとした各種プロモーションを展開しています。サイトを見ると、バーバリーなどのファッションや古城などの遺産、そして英国女王と、なるほど確かに「GREAT」と思わせるイギリスカルチャーが網羅的に紹介されています。
http://www.greatbritaincampaign.com/
ブランディングは「相手の頭の中にあるイメージをつくり上げること」。これはなかなか一朝一夕に行くものではありません。そういう意味で東京は、ニューヨークやイギリスに比べるとまだまだ「これ!」というイメージには乏しいように感じます。日本で言えば「京都」のような、世界中から旅行客を呼び込む力は、まだこれからつけていく必要があるでしょう。
せひこの「東京ブランド」の取り組みが長く、愛されるブランドづくりになってくれればと思います。
なお、「東京のブランディング戦略(素案)」は下記の東京都のサイトからご覧になれます。
http://www.metro.tokyo.jp/INET/BOSHU/2015/02/22p26100.htm
[筆者プロフィール]
田中 恵子
株式会社TCD クリエイティブディレクター
コンセプトからそのデザイン、コミュニケーションまでさまざまなブランド開発プロジェクトに携わる。デザイン領域にこだわらず暮らしをよりよくできるモノゴトをめざす。