2017.04.03

企業ブランディング2017〜人生100年時代の働き方〜

生山 久展 株式会社TCD 取締役副社長 クリエイティブ・ディレクター

今最もホットなテーマである「働き方」に焦点をあてた3回シリーズのコラムも最終回。今回は働くというこれまでの固定概念を大きく揺さぶられる一冊の本を紹介したいと思います。

ロンドンビジネススクール教授であるリンダ・グラットン氏の最新刊「LIFE SHIFT」。この本すごく売れているそうで、書店の目立つ場所に山積みにされているのを見たことがある人も多いのではないでしょうか。著者は人材論、組織論の世界的権威。今後10年に必要となる働き方を示唆した「WORK SHIFT」をはじめ、ベストセラーを次々と世に送り出しています。

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)
リンダ グラットン (著), アンドリュー スコット (著), 池村 千秋 (翻訳)
1,944円(税込)

この本で何よりびっくりしたのが、「2007年に日本で生まれた子供の半分は107年以上生きる」という記述です。現在の日本の平均寿命は男性が81歳、女性が87歳。最新の発表では男女とも第1位は香港に譲ったものの、それでも世界トップクラスの水準を維持し続けています。ここからさらに大きく延びるというから驚きです。今は医療水準の向上などにより10年単位で2~3歳平均寿命が延びているそうです。「超高齢化社会」が到来することは頭では理解していたつもりでしたが、まさかここまでのレベルとは想像もしていませんでした。今50歳未満の日本人は、100年以上生きることを前提に人生設計を考え直さなければならないというのがこの本の主題です。

つまり、これまでは、寿命80年を基準にして、教育、勤労、年金などすべての社会システムが組み立てられてきました。生まれて20年は教育を受け、その後の40年働き、残りの20年余生を過ごす。これからはこれに20年プラスすることになるので、70代後半や80代になっても働き続ける時代がもうすぐそこに迫ってきていることになります。既に定年延長、年金支給開始年齢の後ろ倒しなどは始まっていますが、今後は社会の仕組みを抜本的に見直す動きが加速化していくことは必至です。出生率向上も極めて重要なテーマになりますね。人々が80代になっても活力と生産性を失わず、長く働き続けることができる社会を作らなければなりません。まさか政府は「すべて自己責任で」と言うことはないと思いますが、結局は自分の身は自分で守るしかないと考えておいたほうが賢明でしょう。

では人生100年時代の働き方はどうなるのでしょうか?80代で働くということをイメージできますか?おそらく肉体的な衰えは進んできているはずなので、体を使う単純労働系の仕事は難しいかも知れません。できれば知力・創造力を発揮できる仕事がいいですね。さらに言えばこれまでに自分の積み上げてきたスキルが活かせれば言うことはありません。
しかし、この本は「そんなに甘くないよ」と警鐘を鳴らしてくれています。これからはスキルの価値が瞬く間に変わる時代です。多くの仕事がAI=人工知能に取って代わるかも知れません。だから私たちは手持ちのスキルでよしとせず、常に新しい時代に求められるスキルの習得に努めていかなければなりません。生涯よく学び、自分の能力を磨き続け、活動の方位を狭めないことが重要と提言されています。

私自身は今年で55歳。※一昔前ならあと5年で定年を迎え、年金生活が始まる年齢です。この本は人生80年時代の固定観念を一旦リセットし、これから先に何が起こり、何をすべきかの「心構え」を与えてくれました。長時間労働の改善といった働き方改革も勿論重要ですが、もっと大きな視点で「働き方」を考えるいい機会になったと思います。今年から社会に出る新入社員の皆さんをはじめ若い人たちにぜひ読んでいただきたい一冊です。

※記事執筆時点

[筆者プロフィール]

生山 久展

株式会社TCD 取締役副社長 クリエイティブ・ディレクター

戦略開発、調査・分析、商品開発、販促展開まで幅広いブランディング業務に従事。30年余の実務経験をベースに、的確な現状分析から本質的な課題解決のプランニングを得意とする。

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