ブランディング考

2020.08.03

知的財産権を学ぼう ~海外ネーミングを事例から学ぶ

谷田 治 営業企画室 ディレクター


知的財産権を学ぼう バックナンバー
1. まずは法律を知ろう
2. 権利侵害への対策
3. 商標登録を早めるポイント
4. 海外ネーミングを事例から学ぶ


少子高齢化や新たなビジネスチャンスを見据え、日本だけでなく海外での商品・サービスの展開を計画されている事業者の皆様も多いと思います。数年前の当コラムで、グローバルネーミング開発に関する日本の現状、主なチェックポイントをご紹介しました。
グローバルネーミング開発のススメ

TCDにご依頼いただくネーミングも、海外を見据えたテーマも多くなってきています。今回は著名なブランドで日本と海外のブランド名が異なる事例を中心に、海外ネーミングのチェックポイントをご紹介したいと思います。
(各社Webサイトや世界知的所有権機関提供の商標データベースの情報をもとに、推論を記載しておりますので、事実と異なる点がある場合がございます。予めご了承をお願いいたします。)

チェックポイント①~言語、文化面でネガティブではないか?

海外向けネーミングをするうえで意外と忘れがちですが、一番重要なポイントです。ブランドを展開する国において、その国で使用されている言語でネガティブな意味を持つ表現に該当しないか、文化・宗教面で問題ないか、などのチェックが必要です。英語に限らず各言語で異なりますので、展開する国の言語・文化上の特性をふまえて検討する必要があります。

Case 「CALPIS」アサヒ飲料
飲料・乳製品を中心としたブランド「CALPIS」は、メジャーリーグのダルビッシュ投手が数年前にSNSで発信して日本でも話題になりましたが、北米や一部アジアでは「CALPICO」という別のブランド名で商標登録・販売しています。英語で「piss」は排泄物を意味しますが、ブランドイメージを一定程度残しながらうまくアレンジされた事例といえます。
日本 https://www.calpis.info/
アメリカ https://calpisbeverageusa.com/

Case 「Pocky」グリコ
チョコレート菓子「Pocky」は、日本だけでなく海外でも広く販売されていますが、欧州では「MIKADO」というブランド名で商標登録・販売されています。「Pocky」がイスラム圏で食べることがタブーとされているPork(豚肉)やその他疾病などの外国語と響きが似ていることもあり、一部の国で別のブランド名を使用されていましたが、現在では欧州以外はグローバル統一されているようです。
グローバル https://pocky.glico.com/global/
ヨーロッパ https://pocky.glico.com/global/products/eu/milk.html

チェックポイント②~海外で商標登録可能か?

もう一つのチェックポイントとして重要なのは商標登録です。ブランドを展開する国において、商標登録可能か商標調査することを推奨します。商標は、国・地域それぞれで審査・登録されます。現在は、世界知的所有権機関などが先行出願・登録商標をオンライン検索できるサービスを提供していますので、事前簡易調査に是非活用してください。こちらにご紹介しています。
グローバルネーミング開発のススメ

Case 「National / Panasonic」パナソニック
2008年に「松下電器産業株式会社」から「パナソニック株式会社」への社名変更とともに、白物家電などに長く使用していたブランド「National」を廃止して「Panasonic」に統一しました。(「National」は現在も商標登録)この「Panasonic」はもともと1950年代に、アメリカでは既に他社が「National」を商標登録していたことから付けられた、海外向けのブランド名です。その名前が社名になるまで重要なものになるとは、当時は誰も想像できなかったでしょう。

Case 「iPhone」Apple
最後に、日本と海外でネーミングが異なる事例ではありませんが、日本でスマートフォンのシェア最上位ブランドである「iPhone」は、日本向けのWebサイトや説明書などに、「iPhoneの商標は、アイホン株式会社のライセンスに基づき使用されています。」と記載があります。日本国内では、インターホン・ドアホンで有名なアイホン株式会社が、関係する商品・役務で先行して商標登録しているため、Apple社は同社の商標権をライセンス契約しているのです。

人、モノ、情報が国境に関係なく流通する現代では、ネーミング、ブランドが全世界統一できれば、プロモーションコストも効率的になります。しかしながら上記の事例の通り、名だたる企業でも既存のブランドを後から海外で展開する場合は、統一は非常に難しいことも分かります。ただし、もし今から新しいネーミングを考えるテーマであれば、全世界で統一可能なブランドを開発できるチャンスは十分にあると思います。TCDでは、日本国内、海外向けを問わず、各国のネイティブスピーカーによるチェックをふまえたネーミング、デザイン、権利取得をサポートしてまいります。

[筆者プロフィール]

谷田 治
営業企画室 ディレクター

立命館大学 経営学部卒。在学時にデザインマネジメントを学び、TCDに入社。BtoC、BtoBを問わず、多様なプロジェクトの企画、ネーミングならびにマネジメント業務を担当している。


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